トランプ関税の“25%”が可愛く見える。戦前の日本がアメリカ車に最大70%もの関税を課していた理由

 

アメリカ車を締め出す

当時、すでに日本とアメリカとの関係は決して良好ではなありませんでした。そのアメリカに軍用車を依存していれば、将来、大きな痛手を受けるかもしれません。そのため、国内メーカーを育成するために、昭和11(1936)年に自動車製造事業法という法律をつくったのです。これは「国の許可を受けた事業者しか自動車を製造販売してはならない」という法律です。

そして、許可を受けられる条件に「日本国に籍のある会社」という項目がありました。つまり、この法律は、事実上、「国内の自動車会社しか日本で製造販売を出来ない」というものでした。

事実上のアメリカ車の禁止ともいえ、現在の関税政策などよりも、はるかに強力な締め出し政策です。

この法律では、さすがにアメリカ車の禁止とまでは謳えず、アメリカの自動車会社にも一定の配慮はありました。既存の外国企業には、製造の継続は認められたのです。が、工場の拡張などは認められませんでした。

また同年、輸入自動車の関税が大幅に引き上げられました。完成車の関税は、それまで50%だったのが70%に、エンジンの関税はそれまで35%だったのが60%にされたのです。そのほかの部品も、項目ごとに大きく引き上げられました。

この関税引き上げにより、フォードやGMは、現地生産のうまみも大きく損なわれました。両社は日本での先行きに不安を覚え、相次いで撤退しました。そして日本政府は、フォードやGMの工場を買い取りました。戦前の日米自動車戦争は、現代とは逆で、日本がアメリカからの輸入をシャットアウトしたのです。

当時、アメリカにとって、自動車は基幹産業の一つでした。その産業が、日本政府によって大きな制約を受け、事実上、日本市場から締め出されたのです。

当然のことながら、日米関係のさらなる悪化を招きました。太平洋戦争の遠因の一つともいえるでしょう。

(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2025年8月16日号の一部抜粋です。「初心者のための節税講座~税金還付の三つのルート~」「太平洋戦争の原因は税金?」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)

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