援軍を得て「計略通り」に事を進めた森山幹事長の進退
森山氏を側面から応援しているのは、鈴木宗男参院議員だ。今年6月、23年ぶりに自民党に復党した鈴木氏は、叩き上げで幹事長までにのしあがった森山氏とは長い交流関係がある。平成10年の参院選に、鹿児島市議だった森山氏が出馬したさい、当時の橋本内閣で閣僚をつとめていた鈴木氏が支援して、当選に導いた。昨年9月の鈴木氏のブログには「幹事長に森山裕総務会長が就任するのは見事な判断である」と石破首相を持ち上げる記事が掲載されている。
7月28日の両院議員懇談会で、鈴木氏は「総裁選の前に、まずは参院選で負けた総括をすべきだ」と発言。その後、「派閥パーティー収入不記載事件に関与した議員に対し、再再度処分すべき」という主張を繰り返している。
鈴木氏はこう言いたいのだろう。裏金議員が総裁選をやって総理・総裁の顔をすげ替えよと騒いでいるが、彼らの不記載事件こそ選挙結果に響いてきたことを思い返し、党はあらためて国民の納得が得られる処分をするべきだ、と。
鈴木氏ら石破擁護派の発言がメディアに取り上げられるごとに、安倍派を中心とする裏金議員が「石破おろし」に暗躍しているというイメージが広まり、世論の風向きが「石破続投」を容認する方向に変わってきた。総理交代への期待は急速にしぼみ、総裁選挙管理委員会が「記名回答」や「氏名公表」を選択するなら、総裁選見送りの可能性が高くなりそうだ。
いまのところ森山幹事長の計略通りに進んでいるように見えるが、自身の進退についてはどうするつもりなのだろうか。
そもそも森山幹事長に辞任のインセンティブがあるとは思えない。石破首相に義理や愛着などないにせよ、世論の動向に反してまでこの政権を潰したくはあるまい。だが問題は、自ら「幹事長としての責任を明らかにする」と辞任を匂わせて、いったん参院選直後の急進的ムードを落ち着かせたことだ。なのに、そのまま留任するとなれば、「潔くない」と反発する声も出るだろう。
それでも、森山氏は幹事長に留まるのではないかという気がする。たとえ反石破派を懐柔するために幹事長ポストを明け渡すとしても、幹事長代行や代理として実質的な幹事長の仕事を続ける腹積もりなのではないか。
おそらく、森山氏は「ポスト石破」として小泉進次郎氏を思い描き、そこまで党の中枢部に居続けたいだろう。進次郎政権になれば、その“経験不足”を補って、縦横自在に立ち回れるはずだ。
総裁選は行われず、石破首相はしばし続投。野党第一党の立憲民主党が、あたかも大連立のごとく裏で支える。そんな可能性が高まってきた。しかし、それが国民にとって幸せなことかどうか、疑念は大きく膨らむ。財務省に操られ、「増税」路線から抜けられない古ぼけた政党どうしのエセ対立構図を延々と見せられ続けることに国民は倦み疲れている。
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