プーチンに見透かされているトランプの「経済戦争」というハッタリ
ただ中国はウクライナにも販売を行っている模様で、それは先述の仲介のオファーの際に“戦後復興への関与”という形式で中国が持ち掛けた技術支援などが、形を変えて今、ウクライナへの販売という形になっているようです。
先ほど挙げたフラミンゴのベースになっている技術がどこ製かはわかりませんが、いろいろな国がもつ技術とノウハウが投入されているようです。
ゆえに、少し話はずれますが、戦争が続くことにより、非常に儲けることができる組織が世界中に散らばっており、戦場での一般人に対する悲劇とは裏腹に、ウハウハになっている人たちも多々いることが垣間見えるかと思います。
アメリカもそう、中国もそう、そして欧州やトルコも決して例外ではありません(多分、日本の重工さんも同じかもしれませんが、こちらは未確認のため、断言はいたしません)。
トランプ大統領は頻繁に“経済戦争”の可能性に言及しますが、ロシアとしては特にまともには取っていません。その理由は「本気で経済戦争を仕掛けた場合、ロシアだけでなくアメリカもそれなりのコストを被ることになることを分かっているから」です。
アンカレッジでの首脳会談時にも持ち出された内容のようですが、そこはトランプ大統領もプーチン大統領も分かったうえで行っている口撃であることが分かります。
トランプ大統領はロシア・ウクライナ戦争の“解決”に真正面から取り組むべく、火の中の栗を拾いに行って、再びプロセスを活発化させたのは高く評価できますが、かといってアメリカ軍を直接投入することはせず、あくまでも実際の軍事支援は欧州各国に任せ、アメリカは具体的に何をするのかを明かさない(恐らくは考えがない)ことで、本気度が高くないことが露呈しており、それはプーチン大統領にも見透かされています。
15日の首脳会談をプーチン大統領が受けてアンカレッジにまで赴いたのは、8月8日に対ロ2次制裁の発効を宣言していたトランプ大統領に対して、ギリギリのタイミングで首脳会談の誘いに乗ることで制裁を有名無実化し、その後、ウクライナとの首脳会談の可能性をニンジンのようにぶら下げ、側近に“それがいかに大変なことか”をアピールさせて時間稼ぎをし、停戦なのか和平なのかは別として、ロシア・ウクライナ戦争絡みでの協議が本格化する前に軍事的な優位性を揺るぎないものにするべく、軍事攻勢をかけるという戦略によるものです。
それにまんまとトランプ大統領が引っかかったという否定的な報道も多いのですが、実際にはトランプ大統領の本気度の低さが要因ではないかと考えています。
米ロ間の軍事的な衝突が致命的な結果を招く恐れがあるという考えに加え、ビジネスディールにロシアが乗ってくるのではないかという読みもあるのだと思いますが、実際にロシアは現在、あまり困っておらず、アメリカとのディールができれば、そこにプラスアルファというくらいの意識しかないものと思われるため、ロシアとしては、今は急ぎで動くべき時ではないとの判断をしているものと考えます。
それに対してウクライナは、欧米諸国からの支援が遅れるほど、そしてロシアとの和平協議が遅延されるほど、ウクライナの国家としての存亡の危機が高まる状況にあります。
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