またも“やらかした”イスラエル。ガザ停戦の淡い期待を打ち砕いた暴君ネタニヤフの「カタール空爆」という大蛮行

 

「生存のための脅威の除去」という根本理由を解決に導く端緒

しかし、イスラエルの蛮行が過激化し、それをアメリカも欧州も止めにかからない状況を見て、サウジアラビア王国はイランとの歴史的な敵対関係を棚上げし、いろいろと思うところのあるシリアにも手を差し伸べて、アラブ連盟や沿岸協力会議(Gulf Cooperation Council)などに招待して、広域アラブとしての対応を模索し始めています。

アラブ連盟もGCCも最近は非常に頻繁に会合を続けていますが、そう遠くないうちに地域としての立場が統一されたら、何か大きな動きが中東地域でおこるものと思われます。

これは、安全保障面ではもちろん、環境問題でも同じで、エネルギー問題については、すでにOPECを通じた協力関係があるほか、ロシアも巻き込んだOPECプラスの枠組みも確立していることから、一つの大きく強力な勢力圏が出来るものと思われます。

そのような前向きな動きの影で、恐らく取り残されているのが人権擁護の問題と、climate activismへの対応の余裕なのだと思いますが、今回の協議において、これらの問題を頭痛の種として放置する、または無視するのではなく、きちんと目を向け、知恵を出し合って“適切”な対応について協力していくことが確認されました。

そのための資金繰りはあまり問題にはならないようですが、いろいろとアイデア出しが必要なのが「地域の環境問題に合ったカスタムメイドの対策づくり」であり、そのための地域センターをUAEに置くことで合意しました。

そして英国のチャタムハウスやドイツの複数のファンデーション、アメリカの中東センターやカーネギーなどを協力組織として、相互に学び合いの機会を創出することになりました。議論のファシリテーションをさせていただきましたが、久々に“よい”合意が作れたと喜んでおります。

この関係の基盤づくりは、紛争調停を進めるにあたってもポジティブに役立つものと思われるため、武力紛争のみならず、あらゆる種類のソフトコアな紛争・安全保障案件も盛り込み、総合的な対策パッケージづくりをすることが目指されることになり、次のステップとして、イスラエルにも声をかけてみることで同意を得ました。

「どのような中東地域を作りたいのか?そのためには何が必要なのか?」

このような内容について、今後、アラブ諸国とイスラエルを交えた協議が出来れば、もしかしたら長年火種としてくすぶり続け、ここ2年ほどの間、激しい対立と殺戮に繋がっている“生存のための脅威の除去”という根本理由を解決に導くきっかけになるかもしれないと期待しています。

同じようなことがロシアとウクライナとの間の様々な問題とわだかまりを解決するために行えるといいのですが、あまりにも複雑かつ多くの関心と思惑が絡み、解決の糸口が見えてこないため、こちらはまだまだ工夫が必要そうです。

この内容を話し合うために久々にスタン系の国々との協議が予定されていますが、それ以外の“関係者”としてどの国を、誰を交えるかはクリエイティブな思考が必要かと思います(日本にぜひ入ってもらいたいなあと個人的には願っております)。

いろいろな内容が混じり、もしかしたら分かりづらい内容になってしまったかもしれませんが、どうぞご了承ください。

以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年9月12日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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