櫻井よしこ氏「高市勝利」発言に疑問符。結局は“進次郎政権”が誕生してしまいそうなこれだけの証拠

Sakurai_Yoshiko
 

連日メディアで大きく取り上げられている、自民党総裁選の動向。そんな中にあってSNS上では「高市有利」の声が広がりを見せているといいますが、果たしてそれは信用に値するのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、その情報の「発火点」を探るとともに、信憑性を検証。さらに「事実上の一騎打ちの相手」と目される小泉進次郎氏と比較し、高市氏が不利と見られる要素を論じています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:定見なき進次郎でも高市より有利に見えるいくつかの理由

SNS上で高まる「高市勝利」の声。それでも“定見なき進次郎”のほうが有利に見えるいくつかの理由

いまSNS上では、自民党総裁選に高市早苗氏が勝利するのではないかと大盛り上がりである。どうやらその発火点は、動画番組「言論テレビ」(9月12日)における櫻井よしこ氏の発言のようだ。

櫻井氏は、安倍晋三元首相や麻生太郎氏の選挙で中枢を担い、「党員リスト」を持っている人物から話を聞いた。すると、驚くべきことに、参院選で国民民主党、参政党、日本保守党に票を投じた自民党支持者たちが、まだ自民党の党員資格を持っていて、高市早苗vs小泉進次郎の決選投票になったら、大半が高市氏に票を入れると言うのである。前回の総裁選で高市氏を熱烈に支持した党員の票は、今でも計算に入れられるらしい。

総裁選で投票資格を持つのは国会議員と「党員リスト」に載っているであろう党員・党友だが、今年3月に発表されたその数は103万人ほどである。やや減少傾向にあるとはいえ、さすがにすごい数字だ。

それだけの人数について、参院選での投票行動や今度の総裁選で誰を選ぶかを把握するのはまず不可能ではある。ただし、自民党員でありながら参院選では他党に投票した人がかなりの数にのぼることは間違いなさそうだ。そのうち保守系の政党に投票した人の多くが小泉氏ではなく高市氏を選ぶだろうという分析も納得できる。

とはいえ、これをもって「高市氏が過半数を獲得し、初回投票で決着がつく」と吹聴する向きがあるのは、いささか短絡的すぎると言っておこう。筆者の見るところ、小泉氏にくらべ高市氏が不利だと判断できる要素がいくつもある。

現在、自民党には衆院196人、参院101人、計297人の国会議員がいる。昨年の総裁選では368人だったのに比べると激減していることがわかる。今回は議員票297、党員票297で総裁選の投票が行われる。

いかに高市氏が党員票に強いとはいえ、前回総裁選の初回投票で集めたのは368の党員票のうち109票に過ぎない。これに国会議員票を合わせた合計得票数は181票だ。過半数の369票には遠く及ばなかった。今回はもっと強い追い風を受けて、高市氏が過半数の票をかき集めてしまいそうだという根拠はどこを探しても見つからない。

常識的には、1回目の投票では当選者が出ず、高市氏と小泉氏が1位、2位を占めて決選投票に進むだろう。そうなると、国会議員票297、都道府県連票47の取り合いで国会議員優位のため、高市氏には不利な材料が続出する。

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