「岸田を呼びつけろ」と豪語した過去との取れぬ整合性
韓鶴子総裁は検察の調べに対して、政治家にお金を渡したことなど、一連の容疑を否認して「政治に関心がない」と話したといわれます。この報道を聞いた時には、ひっくり返りそうになりました。
というのも、これまで様々に政治に関する発言があり、記憶に新しいところでは、2023年の幹部らを集めた集会のなかで、韓鶴子総裁が、当時の岸田総理に対して「岸田を呼びつけ、教育させなさい」と言い放っています。これは国内でも大きく取り上げられて、その時の松野官房長官も「報道の件は承知している」といったほどです。
しかし今回の検察の事情聴取に対して「政治に関心がない」といい、過去の発言との整合性が取れません。他にも、総裁の政治に関する言葉があるでしょうから、様々なボロが出てくるのでは必至だと思っています。
そもそも教義において、旧統一教会の教えは国教にしなければなりませんし、政治、文化、宗教を統一教会の教えによって一つにならなければならないとしており、信者らはその実現のために、必死になって活動しています。その教えを真っ向から否定するような言葉です。
「元信者」が教団の打つ手すべてが裏目に出ると見る理由
信者らは「嘘も方便」という言葉をよく使います。過去には、教団名を隠した偽装勧誘をしてきました。もし「統一教会ですか?」と相手から聞かれれば「違います」と否定するように教えられました。神のための「嘘」は善とされていますので、メシヤの発言をそのようにとらえるかもしれませんが、人々に安寧をもたらすはずの宗教団体が嘘をついてはいいはずがありません。
今回の解散命令請求でも、宗教法人法81条1項2号前段の解散命令事由にも該当すると認めました。
本来、宗教法人は、民法上、公益法人です。その理由は「宗教団体が、宗教活動によって不特定多数者に精神的安定、あるいは精神的訓練を与えて、社会に貢献するものと期待されている」からです。文科省は、公益を損なう宗教法人の活動は、「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」に該当するとしています。
すでに教団が組織をあげて、信者らが国民の力に入党するなどの事実も浮き彫りになっています。つまり、教祖自らが検察に(世の中に)「嘘」をついた事実が今後明らかになれば、メシヤとしての権威は失墜するとともに、旧統一教会が、本来の宗教の姿からかけ離れた存在であることを示す結果になります。
おそらく幹部のなかに知恵者がいて、起訴されないための方策を授けたと思われますが、教団の信頼性を失うような行動となし、すべてが裏目に出ているように感じています。
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