2つ目は、依存症の問題です。スマホ依存というのはたしかに問題ですが、重要なのは中身です。ゲームに「ハマって」しまって、勉強する時間も睡眠時間も確保できなくなるのであれば、それはゲーム依存です。また、意味のないショート動画に「ハマって」いつまでも流れてくる動画を見てしまうのは、また別の依存症だと思います。
更にいえば、SNSの上の人間関係に拘束されて、リアルで会ったのに、意味もなくLINEでつながって、既読スルーにモヤモヤしたり、お互いに依存関係になって、人間関係を危うくしてしまうのは、また別の依存です。どれも過度になれば深刻な問題ですし、対処をしなくてはなりません。ですが、依存の種類は全く別です。
ゲーム依存とショート動画のダラダラ閲覧は、依存の質は別です。ましてLINE依存というのは、リアルな関係性も含めて人間同士の関係性に不健全性があり、幼い子供の場合は年長者の介入や保護が必要になると思います。とにかく、そうした依存症の怖さ、カテゴリの多さを無視して、「スマホ2時間規制」をやれば、事態が改善するというのは、考え方として甘すぎると思います。
こうした「上からの規制」というのは、何よりも、個人の自由だという原則論で片付けてしまいがちです。それはそれで原則論としては間違っているとは思えません。ですが、その一方で、この種の「大ざっぱな規制」を考えてしまうという体質の中には、本当に深刻な問題について適切な対策を考えないという、思考停止が含まれているのは間違いないと思います。こちらもかなり深刻な問題だと思います。
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