EVが「電気を売って稼ぐ」時代へ?中国で始まるV2G小遣い経済の可能性と現実

 

現実は課題が山積

しかし現実には課題も多い。第一に設備コスト。

7kW交流充電器が1000元(約2万円)以下に下がる一方、V2G対応の直流双方向充放電器はかつて1万元(約20万円)を超え、最近でも5000元(約10万円)前後とまだ高い。

第二に保証。多くのEVバッテリー保証は8年または16万kmで約300回の充放電しかカバーせず、劣化や故障があれば交換費用は10万元(約200万円)以上。

これでは得られる利益と相殺されるどころか、赤字になる可能性が高く、ユーザーは安心して参加できない。

各所で環境がバラバラ

さらに、住宅や産業パーク、公共施設など利用シーンごとに制度的障壁がある。家庭では売電の計量・精算基準や売電価格制度が未整備。

産業パークでは車やスタンドの標準が統一されず「一つの充電スタンドで多くの車種を網羅」という相互利用が難しいケースも多い。

公共施設は場所の確保は容易でも、放電のために出向く時間コストが収益を上回り、利用率が今でも低い。

心理的ハードルも

心理的ハードルも大きい。調査ではEVユーザーの72%が「愛車で放電すること」に不安を持ち、理由は電池寿命への影響(58%)、操作の複雑さ(23%)、安全性(19%)が上位だ。

「最大のコストは時間。生活圏にV2G充電スタンドがなければわざわざ行く価値はない」との声もある。

EVが勝手に稼いでくれる時代?

大容量バッテリーを備えたEVが「走る蓄電池」として収益を生む未来は、中国で確かに動き始めた。

だがコスト、保証、制度、ユーザー心理といった課題を乗り越えなければ、「何もしなくても稼げる」仕組みが広く根づくには至らない。

V2Gは大きな可能性を秘めながらも、いまだ発展途上のビジネスモデルと言えそうだ。

出典: https://auto.gasgoo.com/news/202509/25I70434210C501.shtml

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