しかし一方で、LCCの台頭は、別の深刻な問題も引き起こしました。
パイロット不足です。
LCC(格安航空会社)の参入の拡大で、必要なパイロットの数が飛躍的に増大。パイロットの養成には年単位の期間と高額な費用がかかるため需要に供給がまったく追いついていません。
それに拍車をかけるのが、高額な学費や厳しい労働環境です。働き方の意識も変わり、パイロットに憧れる若者も減ってしまいました。
ボーイングなどの予測によると、2042年までに世界で63万人以上、特にアジア太平洋地域で新規パイロットが必要とされています。
日本国内でもパイロットの高齢化による「2030年問題」が以前から懸念されており、構造的な問題として対応が求められています。
航空会社や専門学校が、シミュレーターの導入や新たな訓練拠点の整備を積極的に行ったり、航空大学校や私立大学の航空学科など、自社養成以外の多様なパイロット養成ルートの定員増加や質の向上、外国人パイロットの登用など、さまざまな方面から対策が進められていますが、問題解決への道筋は混沌とした状態が続いています。
私たちが求める「格安」の代償は、座席の快適性だけでなく、安定した運航を支える「人」の確保にも及んでいる……とするなら、あるべき未来の空とはどういうものなのか?
みなさんのご意見、お聞かせください。
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