安倍元首相の伝統芸をも踏襲していた高市氏の「したたか」
…そんなわけで、小泉進次郎氏を破って自民党の新総裁に選ばれた高市早苗氏は、さっそく麻生太郎氏に副総裁のポストを与え、統一教会問題と裏金問題だけでなく加計学園問題でも真っ黒の萩生田光一氏に幹事長代行のポストを与えるなど、総裁選で票をまとめてくれた裏方たちへのお礼の人事に余念がありませんでした。
そして、見ているこちらが恥ずかしくなるような「首班指名選挙」へのなりふりかまわぬ数合わせを繰り広げ、よりによって「公明党を切り捨てて日本維新の会と手を結ぶ」という支離滅裂な方法で「日本初の女性首相」という喉から手が出るほど欲しかった椅子に座ったのです。その上、自分の野望に協力してくれた旧安倍派の裏金議員を7人も入閣させるという全体未聞の人事を強行し、多くの国民が未だに納得していない「裏金問題」を「終わったこと」にしたのです。
しかし、サスガは「安倍晋三の後継者」を自称し、中国からも「女・安倍晋三」と呼ばれているだけのことはあります。国内で自身や自民党の大きな不祥事や疑惑が起こると、すぐに外交日程を詰め込んで海外逃亡し、世界各国にカネをバラ撒いて回り、ホトボリが冷めた頃にシレッと帰って来るという安倍元首相の伝統芸をも踏襲していたのです。
ま、今回の場合は、ドナルド・トランプ大統領の来日もその後の外交日程も事前に決まっていたもので、そこには何ら意図などありませんでした。
でも、こうした外交日程ありきで総裁選を行なったのは事実ですから、懐疑的な見方をすれば、新総裁が首相に就任してすぐに外交ラッシュになるように、あえて時間のかかるフルスペックの総裁選にしたんじゃないか?そう思った人も多いでしょう。
小泉進次郎氏でも高市早苗氏でも、どちらが新総裁に選ばれても自民党としての路線は「安倍回帰」であり、複数の裏金議員の入閣は既定路線でした。そのため、就任直後に外交ラッシュが来るような日程にして、裏金議員を重用した組閣に文句を言わせるヒマを与えない作戦、これがあたしの読みであり、この作戦はマンマと成功したのです。
それにしても、あたしが激しく違和感を覚えているのが、石破首相と高市首相の就任後のマスコミの扱いの違いです。確かに高市首相は「日本初の女性首相」なのですから、その点を大きく取り上げることは構いません。
しかし、その大前提として、自民党内で起こった「石破おろし」や、その後の総裁選でのエゲツない票の囲い込み、そして、高市氏が総裁に選ばれてからの恥も外聞もない首班指名のための数合わせ、こうしたモロモロの問題がすべて「裏金問題」と同じく「終わったこと」になってしまって、まったくマスコミが取り上げないのです。
中には批判的な記事も目にしますが、大方は高市首相を好意的に取り上げた記事ばかりで、挙句の果てには「どこのブランドのバッグを使っているか」とか「メイクの変化」など、まるで海外セレブのようなチョウチン記事まで垂れ流す始末。さらには、野党の女性議員がSNSなどで高市首相を批判すると、それを取り上げてその女性議員を吊し上げるという呆れ返る記事までありました。
この異常なチヤホヤぶり、まるでマスコミ全体が高市首相の支持率を上げるために一致団結しているように見えるのです。
1年前、石破茂氏が総理に就任した時は今と真逆で、マスコミは少しでも石破首相の国民への印象を悪くしたかったのか、「椅子に座ったまま相手と握手した」だの「食事のマナーがなってない」だの「服装のセンスが悪い」だの、挙句の果てには「おにぎりの食べ方が汚い」と報じ、「日本の恥」とまで批判した媒体もありました。政策についての批判ならともかく、その大半は「高市首相のバッグのブランド」のような「どうでもいいこと」でした。
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