分譲マンションの購入後につきものなのが、大規模修繕費の積み立てです。しかし、住民の大事なお金に関して「不正」がおこなわれているとしたら、誰しも怒りを覚えるのではないでしょうか。ジャーナリストの山岡俊介氏が主宰するメルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』では今回、そんなマンション大規模修繕工事にまつわる闇を暴露。全国紙の記者や関係者が明かした、業界のドンの正体に迫っています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「マンション大規模修繕工事業界のドン」の正体
誰だ?「マンション大規模修繕工事」の深い闇と「業界のドン」
分譲マンション住民は、10数年に1度の割合で行われる大規模修繕工事のためなどに備え、毎月、積み立てを行っている。その額は月3万円ともいわれ、決して少ない額ではない。
大規模なタワーマンションともなれば、その工事費は数十億円になるケースさえもあるのだ。
昔はマンション建設会社は建設さえ受注できればよく、修繕工事など見向きもしなかった。だが、大規模マンションが次々と登場するなか、例えば、マンション建設首位「長谷工コーポレーション」(1808。東証プライム。東京都港区)は2009年1月、修繕工事を主とする子会社「長谷工リフォーム」を設立。現在、マンション修繕業界では売上高3位(約426億円。25年3月期)につけるなど、大手建設会社も無視できない”利権”となっている。
そんななか、今年3月、首都圏の分譲マンションの大規模修繕工事の入札で談合を繰り返している疑いがあるとして、公正取引委員会は東京都内の施工会社約20社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査を開始。そのなかには前出・長谷工リフォームもあれば、大手ゼネコン「清水建設」(1803。東証プライム。東京都中央区)の子会社で同5位「シミズ・ビルライフケア」、窓・サッシのリフォームに加えマンション修繕も手掛ける「YKK APラクシー」もあった。そして現在、公取の対象は30社にまで拡大している。
全国紙社会部記者が解説する。
「談合で修繕費を水増し。その割合は平均2割。実に4割なんてケースさえあります。分譲マンション住人にとっては許し難い犯罪行為です。ただし、国交省はその水増し分すべてが施工会社の利益になるのではなく、施工会社を選んだ設計コンサルタント会社側に1割程度がバックリベートで行っている可能性もあると見て調べているフシがあります。設計コンサルタント会社にも資料提供を求めていますから」
表向きの大手マスコミ報道では、施工会社の談合だけに目が向けられている。だが、この修繕工事費水増し、ボッタクリ構造の闇はもっと深いようなのだ。
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