さらに、政権交代確実となった同年8月(鳩山由紀夫代表)、特捜部は捜査を強めた。弘中氏の語った事件の本質は衝撃的だった。「不動産の登記日と資産取得日が2、3日ずれただけで2年連続の虚偽記載だとして起訴された」。これが当時の官報複合体(検察とマスコミ)のつくった「小沢一郎の政治資金規正法違反」の実態である。
「100人体制で不動産屋を洗ったが何も出てこなかった。それで政治資金規正法でやった」。弘中さんのこの言葉は、特捜部が「ターゲットを決めてその人物をあげることを目的とする」という捜査の実態を浮き彫りにした。
私が取材していた当時、小沢氏の秘書たちが次々と逮捕されていく様を目の当たりにした。
その中には、かつての秘書仲間で若き国会議員で、先月亡くなった石川知裕衆議院議員もいた。国会議員が秘書時代の「冤罪」で逮捕された例を私は彼のケース以外に知らない。そうした小沢事務所の面々を守るために弘中弁護士は奮闘していたし、私はなるべく中立の立場から、同じく西松建設から献金を受けていた自民党の二階俊博氏や森喜朗氏への取材も重ねていたが、明らかに小沢事務所がターゲットにされているのを実感したものだった。検察の捜査もそうだが、マスコミの報道の偏重ぶりは異常だった。
そんな中、当時、検察審査会に虚偽の証拠や捏造した捜査資料が提出されたことも明らかになった。小沢無罪が濃厚になった矢先、この件を追及していた私も同業であるマスコミからの総攻撃を食らうのだった。
連日「小沢の犬」「小沢から金をもらっているのだろう」とのキャンペーンを張られる。ついには、設立したばかりの公益社団法人自由報道協会のジャーナリスト仲間などからもまったくの虚偽情報が流され、最終的には「小沢批判の列に加わらなかった」として、新聞連載やテレビ番組からの降板をチラつかせられるようになったのだった(のちにすべて降板)。これこそが官報複合体の本質であろう。
この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ









