高市首相は「存立危機」を根本から誤解していたのか?国際社会に“日本参戦シナリオ”を誤送信した重大失態

 

高市発言「台湾有事は存立危機」が全世界に与えた無用の誤解

問題になった発言部分は(正式の議事録によると)次のとおりである(下線は引用者による)。

高市 「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、(A)それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。

実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断するということでございます。実に(B)武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態に当たる可能性が高いというものでございます。法律の条文どおりであるかと思っております。

岡田 「ちょっと最後の表現がよく分からなかったんです。武力攻撃が発生したら存立危機事態に当たる。どういう意味ですか。(C)武力攻撃が誰に発生することを言っておられるんですか。

高市 「(D)武力攻撃が発生をして、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合という条文どおりでございます。

さあて、これは一体、一知半解と言うくらいでは済まない知識の重大な欠落なのか、それとも世を欺く意図的な虚言なのか。

(A)も(B)も、誰が読んでも、中国が台湾に対して武力攻撃を開始した場合、それは直ちに日本の「存立危機事態」となる可能性が高いと高市が考えていると、受け止められるだろう。

ところで「存立危機事態」というのは、従来の「専守防衛」の観念をブチ破って、米軍と一緒であれば日本自衛隊が台湾海峡にとどまらずホルムズ海峡でもどこでも戦闘行動に出て構わないとする概念であるから、高市が「武力攻撃が発生したら存立危機事態に当たる可能性が高い」という短絡的な言い方をすると、中国も全世界も「中台間で武力紛争が始まった途端に日本は軍事介入するつもりなのか」と驚いたのである。

そのことに対し、高市は自分の言葉のどこが間違っていてそのために無用の誤解を全世界に与えたのかの事情説明をした上で、謝罪し、辞任すべきなのだ。

事を理性ベースで議論するキーは、上の議事録の中にも含まれていて、(C)の岡田の問いは大事である。高市は一貫して無限定的に「武力攻撃」と言うが、これはあからさまに「中国が台湾に対して」と明言するのはさすがに控えたいからに違いないが、しかし中国と台湾の間で軍事紛争が起きて武力攻撃が起きても、それ自体は日本の「存立危機事態」とはまだ直接には関係がない。

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