高市首相は「存立危機」を根本から誤解していたのか?国際社会に“日本参戦シナリオ”を誤送信した重大失態

 

虚偽でしかない「条文どおりでございます」という高市の言明

なぜかという理由は、次の高市の(D)の説明に端的に表れている。この説明は致命的な部分を(わざとかどうか)欠落させていて、「条文どおりでございます」という言明は虚偽である。

毎度の引用で恐縮だが、「事態対処法」の2条4項は「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう」としている。

ところが高市はこの規定の最初の部分「我が国と密接な関係にある他国に対する」を省略しているので「武力攻撃」が誰の誰に対するものかが分からなくなっている。そのため、何にせよ「武力攻撃」が起きればもうすぐに日本の存続に関わる大事であるかに聞こえてしまう。

この「我が国と密接な関係にある他国」とは、言うまでもなく米国で、米軍の艦船などが武力攻撃を受け、そこで敗退すれば日本の存続が危険に晒される明白な危険があると判断される場合、日本は米国に対して集団的自衛権を発動して自衛隊を参戦させるのである。

逆に言えば、

(1)中台紛争が起き、
(2)米軍が介入し、
(3)米艦船などが武力攻撃を受けて劣勢に陥り、
(4)そこが決壊すると日本の存続が危うくなると判断される――

という、極めてレアな状況でのみ「存立危機事態」が発生するかもしれないというのが事の真実であって、誰の誰に対する武力行使であるかの見極めもなしに日本がいきなり台湾戦域に突入するという勇ましい話ではない。

しかも、もう1つイヤな話を付け加えれば、「存立危険事態」と判断したとしても、(5)米軍がやられてしまいそうなところへ自衛隊が駆けつけて何か役に立つのかというのは全く未知数で、自衛隊が助っ人に出ていけば米軍が救われ、存立危険事態が回避されるという保証は何もない。

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