高市首相は「存立危機」を根本から誤解していたのか?国際社会に“日本参戦シナリオ”を誤送信した重大失態

 

そもそも「2%程度」でしかない中台戦争が起きる確立

理性ベースで言うと、存立危機事態が起こりうるにはいくつもの前提が必要で、まず第1に、中台戦争が起きなければならないが、その確率は私の説では2%程度で、1%は台湾の過激な独立派が政権を握り、米国の援助なしに「独立」を叫んで決起した場合で、これはたぶん簡単に制圧される。

もう1%は偶発戦争で、これは予測不能なだけに厄介だが、私は中台間には実は危機回避の連絡メカニズムが敷設されていると見ていて、大戦争は回避されるだろう。

中国から平地に波乱を起こすが如きに軍事侵攻を仕掛ける理由が何もないことについては、これまでも散々論じてきたのでここでは省略する。中台戦争は極めて起こりにくいが、それでも98%を99%、100%と詰めて行って絶対に起こらないないようにしていくことが東アジア共通の外交課題である。

中台戦争が起きなければ、「存立危険事態」も何もないのだが、それでも起きてしまって、そこで第2に、果たして米軍は介入するかどうかである。

トランプ政権の間は介入の可能性は0%と考えていいが、その先はどういう政権が出てくるかわからないので予測不能。しかし一般論として、国際法上は「内戦」に過ぎない中台戦争に外から介入すればそれは侵略であり、ウクライナの東部ロシア系住民の自治権保証をめぐる内紛にロシアが外から介入したのと同じ誤りを犯すことになる。

それでも介入するという場合は、米中の核を含む全面戦争に直結することを覚悟しなければならないので、どんな政権であるにせよ、全面介入を決断することは極めて難しい。確率は10%以下か?

第3に、それでも米軍が介入したとして、米艦船などが中国軍に攻撃されて劣勢に陥ることはあるだろうが、それだけでは必ずしも存立危機事態にはならない。そこで米軍が敗れると決壊状況となって日本が存立危機に陥ると判断した場合に限って、自衛隊が出動するのだが、さて果たして自衛隊が中国軍と戦いながら米軍を救済し、戦線を立て直すほどの力量を持つのかどうか、私は知らない。以上の全てが単なる机上の空論に過ぎないような気がしてならない。

《資料》岡田克也と高市早苗のやりとりの内「存続危機事態」に関する部分の議事録――(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2025年12月1号より一部抜粋・文中敬称略。資料「岡田克也と高市早苗のやりとりの内『存続危機事態』に関する部分の議事録」を含む続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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