女性によって極右をマイルド化する海外の事情
欧米では、「女性であること」を盾にして強硬な政策を推し進めるという現象がそこかしこで起きている。
例えば、アメリカでは、白人男性の政治家が語れば「差別」と批判されるようなメッセージを、若い女性の報道官や、黒人の女性作家などに語らせる戦法がとられてきた。キャンセルカルチャーに対抗するために必要な言説もあるのだが、「批判をかわす」という目的で女性や黒人を利用するという手法が確立しているのだ。
フランスでは、極右政党「国民連合(旧 国民戦線)」のマリーヌ・ル・ペン党首が著名だ。
■ マリーヌ・ル・ペン
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国民戦線を創設した父親のジャンマリ・ルペンは、露骨な反ユダヤ、排外主義で幾度となく物議をかもしたが、娘に入れ替わったことで「脱悪魔化」をはかり、「私は3児の母として、子どもたちの安全を守りたい」「女性が一人で夜に歩ける国にしたい」という訴えかたで中間層・女性層の支持を一気に獲得した。
ドイツでは、極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」の共同党首アリス・ワイデルが台頭しつつある。
■ アリス・ワイデル
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元投資銀行出身のエリート、40代のレズビアン女性で、それまでの「なんか怖い右翼のおっさんの集まり」というAfDのイメージを刷新した。だが、反LGBT政策、反フェミニズム、反イスラムという思想の持ち主だ。
イタリアでは、初の女性首相で、高市と抱擁する様子も報道されたジョルジャ・メローニ。
■ジョルジャ・メローニ
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右派政党「Fdl(イタリアの同胞)」を率いる党首だ。「私は母であり、イタリアの家族を守る」として、反移民・反LGBT・反EUの政策を推し進めようとしてきた。
ヨーロッパの場合は、リベラル的な思想でナショナリズムが弱まりすぎていたこと、また、移民不安があまりに巨大になったことで、「移民排斥」の声が高まり、排外主義というものが、避けて通れないテーマになってしまった。
だが、「怖い右翼のおっさん」がそれを語ると、「ナチスか?」となり、人々が拒絶反応を示す。そこで、女性という包み紙でくるんで主張することで、ソフトに見えて支持しやすくなったという経緯があるのかもしれない。
では、日本はどうか?
日本では、ヨーロッパほど移民による混乱は起きておらず、排外主義はたびたび問題されるが、今のところ核となるテーマではない。
だが、「男尊女卑したい」という問題がある。
そこにスポッとはまったのが、「女性の顔をした男性」だ。
女性を使えば、男尊女卑も、対米従属も、対中強硬発言も、すべて「批判しづらいもの」に変わってしまう。「日本型の女の利用法」である。
最大の問題は、こうした構造にまんまと取り込まれて、「勇ましい愛国女性」が高市批判を封じるために活用されてしまうこと、そして「女性ががんばっている」というだけで拍手喝采して、「なんでもあり」になってしまう空気である。
政権維持の意味では、これほど便利な構造はないだろう。しかし、日本社会にとっては、批判を封じ、議論を弱らせているうちに、着々と危険な道へと引きずり込まれ、未来は暗闇へと傾いていくかもしれないのだ。そして、その暗闇を覆い隠すためのものが、「女性」という包み紙なのである。
(メルマガ『小林よしのりライジング』2025年12月2日号より一部抜粋・敬称略。続きはメルマガ登録の上お楽しみください)

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