【ピケティ】「21世紀の資本論」でわかる欧州の反アメリカ化のリスク

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反アメリカ的なトマ・ピケティ「21世紀の資本論」

そんな中、トマ・ピケティの「21世紀の資本論」が、世界的ベストセラーになり、先日日本でも講演会が開催されました。ピケティ、もしくは「21世紀の資本論」で大切なことは、トリクルダウンや増税が正しいかどうかではなく、彼がアメリカ人ではなく、フランス人(南欧育ち)であることだと僕は思います。ポール・クグールマンやスティグリッツとは根本的に違うのです。

トロイカ(IMF、ECB、EU)体制=主にプロテスタント=アメリカ化(僕が言うところの民主主義<資本家主義)ではなく、ギリシャが申し出ているのは、行きすぎたアメリカ化こそが問題であり、だからこそギリシャの左派と右派が手を組むようなことが起きて、その南欧から起きた反アメリカ的な「あたらしい理論」が、トマ・ピケティの「21世紀の資本論」だと僕は考えています。ですので、フランス極右「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は、政治的な背景と移民政策が相反するにもかかわらず、極左のSyrizaを支持すると明確に表明したのです。

もし、中東が反アメリカの狼煙を大きく上げたことに呼応して、武力ではなく、経済システムとして南欧がアメリカ化に反旗を翻すと、これは一大事になります。世界の金融システムが大きく揺れることになり、おそらくロシアが、それに歩調をあわせて動き出すことになるでしょう。

今年2015年は、欧州の多くの国家で総選挙が控えています。政治リスクの調査やコンサルティングを手掛けるユーラシア・グループが言うように、2015年の10大リスク予想第一位が「欧州の政治」なのは間違いありません。

 

『高城未来研究所「Future Report」』第190号より一部抜粋
発行日:毎週 金曜日
登録料:¥864(初月無料)

著者/高城剛
1964年生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。
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