進退をかけると言い切った首相の口から漏れ出た恨み節
公明は自民と連立を組んでいた間、小選挙区には多くの候補を立てず、学会員を動員して自民候補を支援。その代わり、自民候補の陣営が「比例は公明」と呼びかけていた。
公明・学会票は1選挙区あたり1万票から2.5万票といわれる。それが自民から立憲へ移動すれば各選挙区で大逆転の構図となり、立憲・公明の「弱者連合」は見違える姿に変貌する。
時事通信のシミュレーションによると、自民が132議席を獲得した2024年の衆院選で、もし公明票が自民候補から離れ、そっくり民主系候補に上積みされたとして計算した場合、自民は54議席に減少、立憲は170議席になり、劇的に勢力図が塗り替わる。
ただ、時事の調査の場合、各選挙区での公明比例票をベースに試算しているが、実際にはその中に自民支持者の票が混じっているはず。したがって、公明支持者による小選挙区での「公明票」は、もっと少ないと考えるのが妥当だ。
朝日新聞は、公明比例票のうち立憲に投じられるのが5割、7割、10割のケースについて試算している。それによると、2024年の場合、「5割シナリオで自民は89議席、中道改革は149議席となった。7割の場合は自民79に対し中道改革159。10割だと自民58、中道改革176だった。いずれも中道改革が第1党になった」という。
むろん、何事も計算通りにはいかない。だいいち、24年衆院選当時の石破政権とは比較にならないほど現在の高市政権の支持率は高い。その勢いに乗って自民候補が集票をすれば、そもそも公明票は不要であるかもしれない。
それに、学会員が選挙区で、これまで「仏敵」と罵ってきた立憲の候補者のために熱を入れて選挙運動をするかどうか。公明の候補者は全員、比例なのである。いかに本部からの指示があろうとも、比例に「中道」と書いて投票することに重きを置いた選挙戦術になるのは火を見るより明らかだ。
要は、巨大な支持母体である「連合」と「創価学会」が、どれだけ組織力を発揮できるかに、この新党の命運がかかっており、そのエネルギーの総量をはかるのが難しいだけに、自民への重圧もまたはかりしれないわけである。
「わずか半年前の参議院選挙でともに戦った相手である立憲民主党に所属しておられた方々を、かつての友党が支援する。少し寂しい気持ちもいたしますが、これが現実です」
総理として進退をかけると言い切った高市首相の口から恨み節が漏れる。自民の単独過半数獲得はかなり難しくなった。高市首相が進退をかける勝敗ライン「与党で過半数」も微妙なところだ。すべては高市人気しだい、というのが自民党を取り巻く現下の情勢といえよう。
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