脆くも崩れ去った“自民圧勝”のシナリオ。立憲公明「中道新党」電撃結成に「単独過半数の夢」を狂わされた高市早苗の大誤算

 

節操はないが勝負としては面白くなった立憲と公明の合流

崖っぷちに追い込まれた立憲と公明が手を結ぶのにさほど時間は要しなかった。連立を離脱して以来、公明は「中道改革」への結集を立憲、国民民主、自民党の一部に呼びかけてきた。真っ先に応じたのは立憲の野田代表だった。

自民党に対抗すべき野党第一党でありながら存在感を示せず、「議席半減」との予測さえ飛び出していた立憲。創価学会の高齢化で党勢の衰退に歯止めがかからない公明。いずれも党の未来に暗い影がさしている。苦境の両者が、平和や福祉を重んじる政治理念では近いことを奇貨として、助け合うため窮余の一策をひねり出した。

むろん、この両党の合流に節操があるかといえば、ない。一方は与党として安保法制を制定し、原発再稼働を推進してきた。一方はそれを激しく批判する立場だった。その矛盾を帳消しにしようとして新党を結成したのである。

ひとまず衆院議員だけがそれぞれの党を離党して新党に合流し、立憲、公明両党には参院議員と地方議員がそのまま残る。公明は小選挙区から完全に撤退、比例だけに候補者を立て、名簿順位上位で優遇される。選挙に勝つためだけの急ごしらえ政党。「選挙互助会」と揶揄されても仕方があるまい。

19日に発表された「中道改革連合」の綱領と基本政策。むろん焦点は安保法制と原発政策だ。

密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」と政府が認定すれば、自衛隊が集団的自衛権を行使できる。これが安倍政権時代に制定された安保法制だ。これまで立憲は「違憲部分の廃止」を訴えてきたが、新党「中道改革連合」の基本政策では「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」と明記した。

「集団的自衛権」という言葉を使わず、「自国防衛のための自衛権行使」に置き換えて、合憲を導いた。いわば公明の政策に合わせるための“ごまかし”である。

原発政策では「将来的に原発へ依存しない社会を目指す」としつつも、「安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発」については再稼働を容認するとした。これも、「原発ゼロ社会の一日も早い実現」を掲げていた立憲が公明に歩み寄ったかたちだ。

小が大をのみこむような印象となったが、立憲の衆院議員148人のうち144人が新党に参加するという。背に腹は代えられない。理念より食い扶持ということか。

それでも、勝負としては面白くなった。ふつう、弱いものどうしが手を結んでもたいした勢力にはならないが、この場合は違う。いざとなれば集票マシーンとしての創価学会パワーが凄まじい力を発揮する。

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