「是非の先送り」を意味する「検討を加速」という表現
まず、(5)の自民党ですが、こちらの解読はそんなに難しくありません。「検討」するのが目的ですので、それは「やらない」ということです。更に「検討を加速」というのは、是非をハッキリするのを先送りするという意味です。また、「希望」というのは、可能ならやりたいができないという意味です。
つまり二重否定というより三重否定になっていると考えられます。ですので、正確に暗号解読すると、「(消費減税は)できないことをハッキリさせるのを遅らせるのは無理」という意味です。どういうことかというと、選挙後には予算審議があるので、そこでは減税したら財源が必要という話も全部しなくてはなりません。
ですから、そのタイミングでは現在の日本の財政の状況からは、財源のない減税をやったら破滅するということは明らかになります。従って、予算審議、つまり選挙後にも責任政党であるならば、自民党としては消費減税は無理ですよということを言っているわけです。
更に手が込んでいるのが市場とのコミュニケーションです。現在の自民党政権は、ドル円のレートの下限を「160円」に置いているようです。これと相互に連動する格好で長期金利も上昇して危険水域に入りつつありますが、何と言っても物価に連動するのは円安なので、とにかく「160は死守」という感じです。
一方で長期金利が4%台に乗せているというのも非常に厳しい状況ですが、こちらは3月決算のタイミングまでに改善すれば、生保などでの減損処理は回避できるので、切迫感は表面化していません。何よりも金融リテラシーがないと、起きていることの評価はできない問題でもあります。ですから、高市政権としてはドル円レートにターゲットを絞っていると考えられます。とにかく選挙期間中には「絶対に160円ラインには乗せない」という決意がありそうです。
そこは政権与党で、しかも金融大臣に実務家を充てていることもあり、日銀との連動も含めて水面下での動きができているようです。現時点では一転して円高に振ることができており、153円台まで戻しています。もしかしたら、このまま150円台前半で投票日、そして選挙に勝って予算審議、というところまで引っ張るかもしれません。その結果、円高になり物価が一服したのであれば、減税は「なかったこと」とできればという計算もあるはずです。
例えばですが、首都圏の電気代を下げるには柏崎刈羽の再稼働が必須ですが、これを実現しようとする自民党と、阻止しようという勢力の間で、何らかの暗闘が起きているのかもしれません。それはともかく、仮に再稼働できれば一気に電力料金の引き下げが可能で、益々減税は回避できることになります。
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