選ぶべきは自民か中道か?実は「同じこと」を主張しているにすぎない与野党を分ける“意外なキーワード”

 

ストーリー的にはほぼ重なる自民と中道の主張

ここまでの説明は高市政権側のストーリーですが、中道の野田路線も実は「原発は認める」とか「円高に振る」という話は入っており、ストーリー的にはほぼ重なってきます。ということは、実は通貨や金融政策に関しては、自民党も中道連合もほぼ変わらないということが言えると思います。

ストーリーをもう一度整理すると、

「(ア)まずは米国当局(具体的にはベッセント財務長官の腹芸)との協調で円高シフト」

「(イ)円高で物価に一服感が出て選挙に勝ったら予算審議で正直に減税は撤回」

「(ウ)減税撤回を好感して市場で長期国債の暴落ストップ」

ということです。そして、実は対外的には高市政権でも野田政権でも同じような推移になることが考えられます。減税はしない、物価対策は原発再稼働と円高、の2点については結局は同じだからです。またこの2点について国が存続するゾーン内では、これ以外の解はなさそうです。では、選挙でどちらを選んだらいいのかというと、改革がキーになると思います。

「守旧派を味方にしているので、ステルス的に改革はできる。維新と連携しているので官公労、地方のバラマキ渇望のどちらも突き放せる。この2点を評価するなら自民」

「高市では対中経済の先行きが不安。また守旧派が切れない高市は安倍同様に改革は無理。従って国の生存可能なゾーン内から相対的に見て外さないのは野田」

というあたりを有権者は考えて、更には具体的に選挙区やブロックに出てくる「タマ」で判断することになるのではと思います。つまり政治の劇場の舞台の上で演じられている「芝居」はあるものの、その舞台裏にあるものは、実現可能なゾーンは極めて狭いし、短期的にはその「生存可能ゾーン」の内側で、自民も中道も考えているのだと思われます。

勿論、それだけではダメであり、21世紀の社会に整合するように、雇用体系を変え、教育を変えて生産性を上げていかなくてはなりません。ですが、そのような痛みを伴う改革を主導するような才能は政財界には見られない中では、今回のような劇を繰り返して生き延びるしかないのかもしれません。

今は、危機的な債券安を生き延び、危険な円安を回避し、その一方で世論に何とか苦しい台所事情を理解してもらうということで、不思議な腹芸選挙をやるしかないのかもしれません。腹芸というのは、全員が減税を主張しつつ、全員が財源を示さないことによって、間接的に「分かる人には分かる」かたちで減税要求をウヤムヤにするということです。

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