「中国の影響力拡大の阻止」に収斂されるトランプの言動
現在、その海峡にどの程度の中ロの潜水艦が潜っているかは、正確には分かりませんが、先ほどの地図を違った形で見て、アメリカ、カナダそして大西洋の向こう側にある英国、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドを眺め、フィンランドの隣にあるロシアまで視野を広げた場合、グリーンランドを含めた海域で米英および他のNATO加盟国などと、ロシアの軍事的プレゼンスを隔てる線が見えてくるかと思いますが、この線が(実際には見えませんが)、実は欧米諸国の対ロ・対中防衛線となります。
もしその線をロシアそしてその同盟国の中国の潜水艦が越えていたとしたら、アメリカ合衆国にとってもその同盟国にとっても、安全保障上の脅威が一気に高まり、中ロにプレッシャーをかけられる構図になってしまいます。
現時点でどのような軍事的なプレゼンスが繰り広げられ、どこで両サイドがにらみ合う展開になっているかは私には分かりませんが、これまでこのグリーンランドを含む西側ゾーンの防衛をデンマークおよび欧州が怠っていて、中ロに侵入の隙を与えていたか、今後、そう遠くないうちに侵入の扉を開くことになるかといった危機に早期に対応できないのであれば、アメリカがNATOを通じた相互防衛という形ではなく、自国領として組み込むことで、より厳格な軍事的な展開が可能になるという思考が働いたうえでの、トランプ大統領のとんでもない(非常識な)サプライズ発言なのではないかと、ちょっと勘繰ってみたくなりますがいかがでしょうか?
ちなみにグリーンランドをアメリカが所有するという妄言を耳にした際には、ベネズエラの直後ということもあり、「ああ、世界第6位のレアアースの埋蔵量があり、確か最近になって、中国企業が、デンマーク政府をすっ飛ばして、グリーンランド自治政府に直接働きかけて、“グリーンランドの開発支援”とでも名打って投資を急拡大しているから、それをトランプ大統領が看過できない失態と捉えて、too lateになる前に対応したいということなのだろう」と解釈していたのですが、資源開発には目がないはずのアメリカがこれまで大規模に手を出してこなかった現実に鑑みて、「もしかしたら、本当の理由・狙いはそこではないのではないか」と考え、分析を別のアングルから行った結果、辿り着いた・見えてきたのが、これまでお話ししてきた内容です。
そうなってくると、イランへの圧力の拡大、ベネズエラへの侵攻、そしてグリーンランド“防衛”を強行しようとするトランプ外交の狙いが、中国の影響力拡大の阻止という共通項に行きつくのではないでしょうか?
もしそうならつかみどころがなく、かなり強引な一連の行動の背後にある理由が見えてくるので、対応策も練ることができるのですが、それが腑に落ちるものであったとしても、やはりトランプ流のやり方はかなり強引で、非常識で、かつ力で押し切る外交・やり方であるという事実は変わらず、認めるべきものはないかと考えます。
そういいつつも、ちょっと複雑な構図の解法が見えてきた気がして、嬉しくなっている私がいるのも事実です。
真夏の南半球に滞在している今週は、ちょっと環境を変えていろいろと考え、国際情勢を読み解いてみたいと思います。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年2月6日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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