小林よしのり氏が警告。中道の負けっぷりが証明した「理想を語ることが偽善」という我が国の危険

 

むしろ「露悪趣味」が勝つご時世に成り果てた日本

やっぱりある意味リベラルな感覚というものはすごく必要なものである。世の中にはいろんな人がいる。自分が基準ではないのだ。体の弱い人もいれば、全身が不自由な人もいる。

男女の差を意識することも、身障者を意識するのも同じである。ハンディがある人の存在を意識せよということだ。

それを意識するのがリベラルというもので、全く意識しないのはバカだ。

やはり保守はリベラルを理解し、内包していかないと、国の形がもたないのだ。国の中に男と女がいて、健常者も身障者も共にいるのだから、その全てを理解してやらないと、国なんか守れないのは当然だろう。

保守はリベラルを内包する。それがないと保守にはならない。ところが、今はリベラルを一切考えなくていいと思っているバカが「保守」を自称している始末だ。

たまたま健康体に生まれた男がいる。それが都合のいい女を見つけて、うまいこと奴隷みたいに使って社会を動かしている。そんな構図が圧倒的に多いのが、今の日本の問題なのだ。

しかも明確に男尊女卑が現れていればまだいいのだが、表向きには「ちょっとカミさんには頭が上がりませんからね~」みたいなことを言いながら、裏では女性を侮蔑するようなことを平然と言うような男もいっぱいいる。

一応は「男女平等」が一般的な知性と思われていることを意識しながら、ずる賢く悪知恵を働かせているだけなのだが、日本人の男はそんなレベルの奴ばっかりである。

昔はまだ「建前」とか「美辞麗句」が、常識としてのリベラル感覚で通用していたものだが、今は「本音主義」みたいなものが流行ってしまって、堂々と暴言を吐く方が美徳のようになってしまっている。

だから前述の沖縄県議のように、「男女平等なんてあるわけない、男が一番だ」と言った方がバズるというような感覚になってしまうわけで、こういう露悪趣味のようなものも問題がある。

国際関係を論じるにもこんな感覚で、アメリカは正義なんだから勝つわい!としか自称保守は思っていない。そんなことを許していたら、本当に帝国主義の時代が来てしまうというのに、たったそれだけのことすらもうわからない。国際法秩序を守れと言っても、そんな美辞麗句はいらない、となるのだ。

だがそういう奴は、本当に帝国主義の時代になったら自分は決して強者の側には入れないということすらわかっていない。何の根拠もなく、自分が強者のつもりで言っているのだから、徹底的に脳がオカシイのである。

高市早苗にしても、台湾有事について本気で言っているのなら、「日本は台湾を守ります、そのために日本の若者に命を懸けてもらいます」と言わなければならなくなる。だが、実際には大した考えもなく、なんか勇ましく、「アメリカが危機の時は自衛隊が守ります」と言っているだけだ。

ところがそんな無責任な物言いの方が受けて、「戦争への道を開くな」と批判する方がカッコ悪くなってしまっている。

もう世間一般が全体的にそうなってしまっているから、選挙でも中道改革連合の大惨敗という結果になってしまったのだろう。高市が強そうだから、強い者についていく、それだけ!という、とてつもなく単純な有様になってしまっているのである。

とうとう、美辞麗句が一切合切通用しない世の中になってしまった。むしろ露悪趣味の方が勝つぐらいのご時世になってしまった。

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