●アメリカのせいで世界の金融がおかしくなる
アメリカばかりに金が集まると、世界各国で金が不足します。
金本位制のもとでは金が少なくなると、その分、通貨が減っていきます。
なので金の減少が続くと、通貨の流通に支障をきたすようになるのです。
デフレ状態になり産業が沈滞してしまいます。
また金が不足している国は、他国から物を買えなくなるために、貿易も収縮します。
つまりアメリカが、「世界貿易の通貨」である金をため込んでしまったことが、世界を恐慌に陥れる強い「負のエネルギー」となったのです。
それに加えて、アメリカは高関税政策を採っています。
アメリカの貿易黒字は減るどころか、積みあがっていくばかりだったのです。
なぜアメリカは世界の迷惑を顧みず、これほど貿易黒字を貯め込んだのでしょうか?
それには大きく二つの理由があります。
当時の国際経済の常識として、どこか一国が貿易黒字を貯め込むことが、悪いことだという認識はなかったのです(現在も、そういう考えを持っている経済学者、政治家も多い)。
だから、アメリカは貿易黒字が膨らみ、金を貯め込んでも、それを積極的に吐き出そうとか、他国の金不足を支援しようという試みはほとんど行われなかったのです。
そしてそもそも、アメリカというのは、貿易をそれほど必要としない国でした。
資源も多く、広い農地もある。工業化も進んでいます。
1929年におけるアメリカのGNPに対する貿易の割合というのは、輸出が5%、輸入が3,4%に過ぎませんでした。
つまり、当時の世界貿易の中では、世界各国はアメリカの産品を必要としているけれど、アメリカは、他国から買わなければならないものは特になかったのです。
だから、アメリカには、貿易黒字が貯まる一方となってしまったのです。
その結果、1920年代のアメリカはバブル状態になりました。
世界の中で経済が安定している国はアメリカくらいしかなかったので、世界中の投資マネーがアメリカに入ってきたのです。
しかし、1920年代のアメリカのバブルは砂上の楼閣のようなものでした。
なぜなら、アメリカの製品を買ってくれているヨーロッパ諸国は、どこも苦しい経済状況であり、購買力はそれほど続くものではありません。
ヨーロッパ諸国が破綻すれば、アメリカのバブルも当然、はじけてしまいます。
1929年の春になって、ヨーロッパ諸国の中でももっとも経済的に厳しいドイツで、その兆候が見えてきました。
第一次世界大戦で課せられた賠償金が払えなくなったのです。
その半年後、ニューヨークの証券取引所で株価の大暴落が起き、世界大恐慌になったのです。
続きは次回で。
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