病歴も犯罪歴も「本人同意なし」で企業が取得可能に。最悪な「個人情報保護法改正」がもたらす恐怖

 

機微な情報は「宝の山」

病歴や犯罪歴など極めて機微な個人情報は、見る人が見れば「宝の山」です。たとえば、大手の生命保険会社などであれば、国民の病歴が分かるリストなら何億円払ってでも手に入れたいでしょう。他にも、個人の趣味嗜好などが分かる情報が満載のリストであれば、数多くの業種のマーケットで引く手あまたになることウケアイです。

こんな最悪の規制緩和をしたら、大量の個人情報を取得する目的でAI開発のベンチャーを設立する守銭奴も湧いて来そうですし、こうした名簿売買と言えば反社グループの独壇場です。そして、AI開発のためだと言って多くの国民の病歴や犯罪歴などが明記された個人情報を取得して、犯罪に二次利用することなど容易に想像できるでしょう。

特に犯罪歴の場合は、他人に知られたくないと思っている人が大半だと思いますし、中には自分の犯罪歴を隠して現在の仕事に就いている人も一定数はいるでしょう。このような状況で、本人の同意もなく第三者である民間企業がそうした個人情報を取得できるようになれば、その情報を悪用しようと考える人が出て来ても不思議ではありません。

なぜ匿名化を拒んだのか

今回の改正案において、何が一番の問題なのかと言えば、こうした病歴や犯罪歴に漏れなく住所と氏名がくっついている点です。企業がこうした情報を取得できるとした特例は「AI開発のための統計の作成など」と目的が限定されているのですから、そうであるのなら元のデータから住所と氏名を消して「匿名のデータ」にしても問題ないはずです。

そこで、立憲民主党や公明党などは「データ流出や悪用のリスクが高いので、せめてデータの匿名化を義務づけるべき」と主張しました。あたしはモットモだと思いました。しかし、担当する松本尚(ひさし)デジタル相は、データの匿名化について「名寄せの必要性や技術的困難性を考えると今回はやむなしという部分がある」と答弁して突っぱねたのです。

ここで注目すべきは「今回はやむなし」という言葉です。つまり、松本デジタル相も、実際にはデータの匿名化は必要だと考えているのですが、今回はそこまでやっている余裕がないので仕方ない、と回答したわけです。さらに松本デジタル相は、14日の閣議後の記者会見で「個人情報がいろんなところに漏れてしまうという懸念があることは十分承知している」とも述べています。

松本デジタル相は「できる限り国民の懸念を払拭して行く」とも述べましたが、そもそもの話、松本デジタル相も個人情報漏洩の危険性はすでに認めており、本来ならば立憲民主党や公明党が主張するように「データの匿名化」が必要だと考えていたのです。しかし「漏洩防止よりAI開発優先」という高市政権の方針、そして今国会で1本でも多く法案を成立させたいという高市首相のワガママに従い、国民など二の次の生煮え法案や緊急性ゼロのどうでもいい法案ばかりを絶賛連発中なのです。

実際、この改正案が施行されるまで2年間も余裕があるのですから、病歴や犯罪歴に関するデータを匿名化することはできると思います。立憲民主党や公明党の主張を受け入れて「データの匿名化が完了し次第、施行する」としていれば、多くの国民の懸念は払拭できたのです。それなのに、個人情報を大安売りしてまで法案成立という自分の実績を最優先した国民無視の高市首相。自民党は一体いつまで、使用済み核燃料の処理方法も見つからないまま原発を稼働させるような無責任な政策を繰り返して行くのでしょうか?

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