変人の誉れ高い泉田裕彦氏が暴露した「新潟のドン」の囁き
ところで、地方議会のボスをめぐる腐敗は、福岡県だけの問題ではない。すぐに思い浮かぶのは新潟県のケースだ。
通産官僚、新潟県知事を経て2017年10月から24年10月まで衆院議員をつとめた泉田裕彦氏は、衆院選に出馬する前、2,000万~3,000万円の裏金を撒くよう星野伊佐夫新潟県議に要求されたと録音データをもとに“告発”した。
かつての田中角栄後援会「越山会」幹部で“新潟のドン”といわれた星野氏がスカウトしたのが泉田氏だ。録音データには、泉田氏を諭すように囁き続ける星野氏の声がおさめられていた。
それで泉田さん、勝とうさ、どう思うね。
もしさ、比例でひっかからなかったら終わりだよ。
とにかく必要経費を早くまこう。もう余裕がない。選挙が始まってからなんてバカはいない。今だ、今でも遅いくらい。
2,000万や3,000万出すのにもったいながったら人生終わるよ。
泉田氏が「違法行為にならないようにしないといけないので」と拒否反応を示すと、こう言った。
そんなものはね、いいですか、はっきり言うよ。言葉の問題だけであって実際はそんなもの気にしている候補者なんか1人もいないからね。
選挙に勝つためなら候補者は法律違反など気にしてはいけないと説く。「ムラ」の論理はいつも世間との乖離が甚だしい。
県議や市議に影響力のある大ボスは、その集票力を武器に、知事や国会議員を擁立し、当選させる。その力に頼らなければ選挙に勝てないことを肌身で感じる知事や国会議員は、大ボスの言いなりになるものだ。ところが「変人」の誉れ高い泉田氏の場合、そうは問屋が卸さず、逆に音声を暴露されてしまった。
地方議会が力を持ち、国政に多大な影響を及ぼすのも、長年にわたって“牢名主”のごとく閉鎖空間を牛耳ってきた権力者がいるからだ。福岡市の高島宗一郎市長は自著で、市長選への初出馬が決まった直後、ある議員に選挙活動費として5,000万円を要求され、断ったと書いている。その議員の正体はわからないが、政策や政治理念への共感ではなく、カネしだいで動こうとする輩が幅を利かしているのは確かなようだ。
国政を揺るがす権力者を生み出す地方議会の「ムラ社会」は、もはや地方自治の枠を超えた民主主義の癌である。カネでポストを売り買いし、血税を湯水のごとく使って身内の遊覧を貪る者たちに、これ以上の延命を許してはならない。
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image by: 福岡県議会公式ホームページ









