焼き飯なのか、チャーハンなのか。埼玉県三芳町の町中華「河童軒」で、もっとも愛されているメニューは、その名も「焼き飯チャーハン」です。しかも、具材とご飯を炒めるだけの料理に、仕込みが2日も掛かると言います。なぜ、そこまで手間を掛けるのでしょうか。その答えは、店主が若い頃に出逢った一冊の本にありました。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、旨味の三大要素と、失敗から生まれた焦げ目、そして固定観念を捨て去った店主の研究心について紹介しています。
焼き飯か? チャーハンか?仕込みに2日、「焼き飯チャーハン」とは?
町中華の名店と言われるお店には、「どこよりも美味しい!」と絶賛される味があります。
埼玉県入間郡三芳町の「河童軒」もそんなお店のひとつ。
このお店でもっとも愛されているのが、「焼き飯チャーハン」。
焼き飯なのか、チャーハンなのか。
不思議なネーミングもさることながら、このメニューは仕込みに2日も掛かると言います。
具材とご飯を炒めるだけの料理なのに、なぜ2日掛かりで仕上げるのでしょうか。
この疑問を解決するには、若干食品化学を勉強する必要があります。
「旨味の三大要素」との出逢い
若い頃の店主が、お店の味に試行錯誤していた時、書籍のある一節に出逢います。
旨味の三大要素である「グアニル酸」「イノシン酸」「グルタミン酸」が合わさると、料理が飛躍的に美味しくなる、と。
この事実に衝撃を受けた店主は、旨味成分の入っている食材を探します。
その結果、グアニル酸は椎茸、イノシン酸は豚肉、グルタミン酸は醤油に含まれていることに辿り着きます。
この3つを使えば美味しくなることを確信し、試作を繰り返しました。
ハムに隠された意外な仕掛け
その途中、具材としては焼き豚が一般的なのですが、ハムを使うことを思いつきます。
ハムには、食用の接着剤が入っており、火が通ると面白い歯応えになることを見つけたのです。
接着剤と言うと良い印象はありませんが、安全なものであることを確認し、美味しさのためにあえて使っているのです。
そして、この焼き飯チャーハンは、提供する前日から仕込みが始まります。
椎茸と豚ミンチを炒め、ご飯と合わせ、ひと晩寝かせます。
ひと晩寝かせるのは、旨味成分をご飯に馴染ませるためと、パラパラに仕上げるためです。
次の日、玉子とほぐした”焼き飯チャーハンの素”、ハムを炒め、醤油などの調味料で味つけします。
焦げ目は失敗から生まれた
炒める時には、ご飯を鍋に押しつけるようにして、焦げ目をつけます。
これが「焼き飯」の所以で、偶然から生まれたものです。
考え事をしていて焦がしてしまったのですが、食べてみると美味しかったのです。
それ以来、わざと焦げ目をつけることから、「焼き飯チャーハン」と名づけたのです。
変わったネーミングですが、イメージは伝わりますし、お客さまが興味を持ちやすくなります。
固定観念を捨てた店の面白さ
店主は、とにかく研究熱心。
美味しさの追求のために、固定観念・既成概念をすべて捨て去り、あらゆる角度からのチャレンジを試みています。
そんな精神から、他にもユニークなメニューが誕生しています。
「チーズ肉味噌ラーメン」「塩マヨラーメン」
「玉子とじラーメン」「ピーマンメン」
「白菜のクリームチーズメン」「玉ねぎと肉のかけご飯」
「ピーマン肉炒め丼」「もやしの中華和え」など。
聞いたことのないような響きのメニューが、多くのファンの心を捉えています。
面白いことに挑み続ける人の周りには、たくさんの人が集まって来るのです。








