金利上昇と通貨安という難題を抱え、先行きの不透明感が一段と増している日米の経済状況。中でも両国の金利差縮小は、「円キャリー巻き戻し」を通じて世界規模の市場変動を引き起こす引き金にもなりかねないようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、日米両国の金融・財政政策とベッセント米財務長官の動きを軸に、今後の世界経済の行方を推測。さらに米国の覇権低下を見据えて変化する中東や欧州の国際秩序にも目を向けつつ、日本が経済と安全保障の両面で取るべき対応について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日米の金利上昇を抑える戦い
米国債の「デフォルト」も?日米の金利上昇を抑える戦い
日米の財政拡張政策で、日米ともに金利が上昇している。これに危機感を感じるベッセント財務長官が日本の金融財政政策にも要求している。今後を検討しよう。
先週、株価は140ドルの下落。8月28日にジャクソンホール会議で、ウォーシュFRB議長は、インフレ抑止の方向が中央銀行の役割と講演したことで、9月利上げを嫌気して9月1-2日は下落し、これに対してウォラー理事も9月利上げがないと発言し、かつトランプ氏が利下げを要求して、3日は上昇し、雇用統計が良かったので、利上げ観測が増えて4日は下げるという展開になった。
4日発表の8月雇用統計では、就業者数は16.2万人の増加と、市場の予想を大きく上回った。このため、景気は堅調となり、9月利上げの可能性が増した。
トランプ氏は4日、米連邦準備理事会FRBが利下げを実施しない場合、米国が貿易赤字を抱える国々との貿易を停止すると述べた。「金利を引き下げなければ、米国が貿易赤字を抱える国との取引を停止する」と投稿。
9月11日の米CPIの結果で9月利上げが決まる展開になってきた。
同時に米財務省は125億ドルで長期、超長期国債の買い入れを行うとして金利上昇を止めた。
もう1つ、プライベート・クレジットに異変が起き、ブラックストーンの770億ドルのファンドが2四半期連続で解約制限になっている。高利回りの裏に潜むのは流動性という見えにくいリスクが表面化し始めている。信用不安が起き始めていることになる。
逆に、日米の金利差が、1.5%以下になると、円キャリートレードの巻き戻しが起きる可能性が出てくる。日銀の9月利上げは確実であり、日10年国債は3%になり、米10年国債は5%であり、金利差2%になっている。ここでFRBが利下げしたら、金利差が縮まり、円キャリー巻き戻しになったら、ドル円は130円台になる可能性も出てくる。
金利差が縮小して、かつ円高ドル安展開になると、円キャリー巻き戻しは、本格的になり、世界市場から資金が抜き取られて、世界的な大暴落になる。円キャリーは20兆ドル規模であり、相当に大きな水準にある。これを起こさないことが必要であるが、中間選挙後が非常に恐ろしいことになりそうだ。
4日には、一部円キャリー巻き戻しが起きたという評論家もいる。
日米欧ともに、財政拡張政策により、金利上昇、通貨安になっていて、何が起きるか見通せない状況になっている。このため、ボラティリティが大きくなっている。ドル円は160円から155円台まで急落している。詳細は日本の状況で。
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