最後に、以前にも何度か紹介したことがありますが、ノンフィクションライターの立石泰則氏が書いた『 戦争体験と経営者 』(岩波新書)を再度紹介しておきます。
戦後も、再軍備を求める経済人は少なくなかったと聞きますが、そういう風潮に真っ向から立ち向かった気骨ある大物経営者の何人かを紹介している本です。実際に戦場を経験したが故の平和への強いこだわり、経営哲学、国家観には、軽々しく軍事ビジネスに手を出すような最近の経営者にはない迫力があります。
この本で特に印象に残っているエピソードの1つに、ダイエーを創業した中内功氏の話があります。中内氏には、一兵卒として満州やフィリピンの戦場に赴いた過酷な経験がありますが、ある時、当時の関西経済界の重鎮だった住友金属(当時)会長の日向方齊氏に食ってかかったそうです。中内氏が参加した経営者セミナーで、「憲法改正、ソ連を仮想敵国とした防衛力強化、徴兵制の復活」などについて日向氏が持論を展開していたそうですが、財界の大物を前に聴衆の誰もが沈黙を強いられる中、一人立ち上がって「戯れ言を言わないでいただきたい」「軍備では日本は守れない、そんなことよりソ連と仲良くする努力をすることの方が大切だ」と真っ向から反論したそうです。
中内氏がもし今も健在であれば、テラドローンの徳重氏や、楽天の三木谷氏は、中内氏を納得させる説明ができるのでしょうか。
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