「トランプ政権を変えろ!」アメリカ国民に「公開書簡」で直接語りかけたイランが狙う、“交渉相手の背後”を揺さぶる手法

 

【2.もう一つの海峡-イエメン「夜明け」作戦とメッカ協定】

ドーラン氏は、イランの次の一手は「戦争の兵器と地理を変える」ことだと指摘しました。その「地理の変更」が、今週、紅海の入り口で目に見える形をとったのです。

【2-1.狙われた空港】

アルジャジーラなどによれば、フーシ派は9月、紅海沿岸を南下して港町モカを奪い、バベルマンデブ海峡の真ん中に浮かぶペリム島を押さえました。

今週に入ると、サウジアラビアへの攻撃を一段と強めています。日付と発表の主体ごとに整理すると、次のとおりです。

  • 10月4日:フーシ派がリヤドのアラムコの施設などへの攻撃を主張しましたが、サウジ主導の連合軍の報道官はこれを「誤解を招く」と否定し、攻撃は確認されていません。
  • 10月5日夜:南西部のジーザーンとナジュランの二つの空港が攻撃を受け、サウジの民間航空庁は軽傷者3人が出たと発表しました。
  • 10月7日までに:アブハ空港とリヤドのキング・ハーリド国際空港が攻撃を受け、民間航空庁は、モロッコ、アルジェリア、スーダン出身の住民3人が死亡し、36人が負傷したと発表しました(AP通信なども報道)。

フーシ派は、メッカとメディナの上空を除くサウジの領空全体を作戦の対象とすると宣言し、国際航空会社に警告を発しています。湾岸協力会議の事務局長は、これを「危険なエスカレーション」と非難しました。

空港は国の玄関であり、出稼ぎの労働者や巡礼者が行き交う場所です。そこで命を落としたのが、北アフリカやスーダンから働きに来ていた人々だったという事実に、この戦争の残酷な広がりを感じずにはいられません。

【2-2.「イエメンの夜明け」:発表と確認の間】

サウジアラビアが支えるイエメン暫定政府の大統領指導評議会のアリーミ議長は、10月4日から5日にかけて、首都サヌアを解放し「クーデター」を終わらせるための「イエメンの夜明け」作戦を始めたと発表しました。暫定政府側は、バベルマンデブ海峡に近いズバーブ地区などで前進したと発表しています。

モカについては、国防省が奪還を発表した一方、ロイター通信は暫定政府筋の話として部隊は郊外に達した段階だと伝えるなど報道に食い違いがあり、フーシ派は政府の発表を「でっち上げの英雄譚」と否定しました。

サウジ主導の連合軍は、戦闘機約100機を投入し、324の重要な目標を破壊したと発表していますが、これも連合軍の発表で、独立した確認はありません。

内陸のタイズでは逆にフーシ派が攻勢に出ており、タイズと暫定首都アデンを結ぶ幹線道路が損壊して通れなくなったと報じられています。

国際移住機関(IOM)によれば、8月1日から10月4日までに18万4,000人を超える人々が避難を強いられました。イエメンにおける人道状況の悪化が深刻化しています。

米ハドソン研究所のジャン・カサポール氏は10月6日の分析で、サウジの空軍力は強力だが、空からの攻撃だけでは反フーシ派の勢力の慢性的な分裂を補えないと指摘しています。同氏は、

「フーシ派の部隊は退いているのか崩れているのか」

「どこに防衛線を敷くのか」

「攻勢はいつ限界を迎えるのか」

という三つの問いを挙げました。

そして、フーシ派が通常の戦闘で後退すれば、イランが湾岸諸国に対してミサイルとドローンの一斉攻撃やテロといった非対称の報復に向かうおそれがあると警告しています。

同氏が最も深刻な事態として挙げたのが、海水の淡水化施設が狙われることです。砂漠の国々にとって、淡水化施設は文字どおりの命綱です。

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