【2-3.メッカ協定は何を約束し、何をまだ約束していないのか】
10月5日、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの外相、国防相、陸軍の参謀総長がリヤドに集まり、緊急の会合を開きました。3カ国は共同声明で、集団防衛の約束を「直ちに実行に移し」、合意した軍事力と能力をサウジアラビアに「迅速に展開する」ために必要な措置をとると表明しています。8月7日にメッカで結ばれた共同防衛協定に基づき、3カ国が展開の準備を進めると表明したということです。
一方で、まだ約束されていないこともはっきりさせておく必要があります。共同声明はフーシ派を名指ししておらず、10月8日の時点で、トルコとパキスタンが実際に何を、どれだけ、いつまでに送るのかは確認できていません。カサポール氏が指摘するとおり、攻撃用のドローンを送るのか、防空システムなのか、情報や電子戦の支援なのか、それとも連絡将校だけなのかによって、この協定の性格はまるで変わります。
前号で私は、「抑止しない防衛協定はプレスリリースにすぎない」という批判をご紹介しました。今回の声明は、その批判に「展開」という言葉で応えたものですが、言葉と実際の展開の間の距離こそが、今後の焦点です。
パキスタンの足元にも不安があります。パキスタンは9月中旬から、アフガニスタンのタリバン政権との間で越境攻撃の応酬を続けており、9月30日にはアフガニスタン領内を空爆し、国連アフガニスタン支援団は子どもを中心に民間人10人の死亡を確認しました。西の国境に火種を抱えたパキスタンが、遠く離れたサウジアラビアにどれだけの戦力を割けるのかは未知数です。
約束の信頼性は、約束した者の余力で測られますが、果たしてパキスタンにその余力があるでしょうか?
【2-4.「後ろから支える」米国】
ルビオ国務長官は10月5日、サウジアラビアとイエメン政府には自衛の権利があるとし、米国はサウジアラビアとの防衛と安全保障の協定を守ると述べました。
アルジャジーラは米高官の話として、米国は計画づくり、情報の共有、空中給油で支援しており、約200人の顧問がサウジの計画センターにいる一方で、イエメンの戦争そのものには関与していないと伝えています。トランプ大統領は9月、サウジアラビアから求められたフーシ派への攻撃をいったん承認しながら撤回したと、米ニューヨーク・タイムズ紙が報じていました。
9月中旬には、オマーンの首都マスカットで米国とフーシ派が接触し、フーシ派が米国の船を攻撃しない約束をしたとロイター通信が伝えています。
自らは前に出ず、同盟国の背中を押しながら、敵とは別の取引をしておくという振る舞いは、覇権国が地域から身を引くときの一つの「作法」だと言えます。米国務省は9月17日、サウジアラビアへの最新鋭のステルス戦闘機F35の48機の売却を承認して議会に通知しており、現在は議会の審査の段階にあります。
米国は、自らの兵士の代わりに高度な兵器を地域の同盟国に委ね、各国に「自らの身は自ら守ることを求める道」を選びつつあります。
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