【キャラ弁】自分を犠牲にして雑菌山盛りのお弁当を作る日本人の心理

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キャラ弁礼賛は古い価値観に縛られている証拠

第四に、このキャラ弁の絶賛は、日本的なジェンダーや家族の価値観を明確に表していることです。この様な手間暇をかけて昼食を作る母親が「素晴らしい」と絶賛されます。しかし、それは、この様な家事を行わない母親は日本的基準では「悪い母親」とされてしまうわけです。

父親はそういう手の込んだお弁当を作りませんが、父親が非難されることはありません。また、子供は自分で料理できる年齢であっても、自分でお弁当を用意しない様な子供は非難されません。

つまり、母親というのは、自分のキャリアや寝る時間を犠牲にして過剰な家事をやるのが当たり前であり、それをやる人は素晴らしい母親でなければならない、父親は家事をやらなくて良い、子供はいい年をしていても親に頼るべきである、という「思い込み」があるわけです。これは、20世紀以前のジェンダー感や、家父長制度で刷り込まれた性的、年齢的役割が「絶対的なものである」とする古い価値観に縛られている人がいかに多いか、ということの裏返しでもあります。

母親は自分を犠牲にして子供に雑菌山盛りのお弁当を作ることが素晴らしいと絶賛されるが、彼女のキャリアや稼ぐ能力、資産、創造性、リーダーシップ、専門技能といったものは評価に値しないわけです。評価されるのは家族のために自分の時間=人生を犠牲にすること、家族の世話をするための家事の技能、母親としての役割を演じているかどうか、です。

今の日本は凄まじい勢いで少子高齢化が進んでいます。非正規雇用は働く人の半分近くです。国家財政は大赤字です。労働人口は減っています。将来年金は破綻し、高齢者を支える福祉の費用が私達やその子供にとって、大変な負担になるのは目に見えています。会社だっていつまであるかわかりません。

そういうシビアな状況なのですから、母親には、一円にもならないキャラ弁作りを期待するよりも、キャリアをつんでもらったり、稼いでもらうことを推奨した方が論理的ではないでしょうか。

少子高齢化が進む社会で大人になる子供に取っては、資産も貯金もない高齢の母親の介護費用や生活費を負担することは生き地獄です。お金で苦労すると、昔キャラ弁を作ってくれたな、なんて思い出は一瞬で吹き飛びます。

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