立ち行かなくなる企業の役員や社員には、不思議な共通点があるようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』でそんな興味深い事実を語っているのは、数々の赤字企業を救い続けてきた長谷川和廣氏。企業再生のプロが目の当たりにした彼らの「特徴」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
再建が必要となる会社に共通していること
企業再生のプロとして、2,000社を超える赤字会社の大半を立て直してきた、会社力研究所代表の長谷川和廣氏。
2010年9月号の『致知』にご登場いただいた際にお聞かせいただいた「再建が必要となる会社に共通していること」という興味深いお話をご紹介します。
再建が必要となる会社に共通する部分として、例えば、業績の悪い会社の社員は廊下の端っこをうつむいて歩いています。やはりちゃんとした会社の社員は堂々と胸を張って真ん中を歩いていますよ。これは見事なものです。
あとは、再生会社に行って社員の出社の状況を見ていますと、大体出勤状態が悪い。そして決まって朝が遅いのですが、その中でも始業時間ギリギリに来る人たちがいる。急いで走ってくればまだいいのですが、まったく慌てる風がなくテレテレ歩いてくるんです。
要するに危機感がないんですよ。得てして会社がおかしくなるのは、会社に余裕がある時です。危機感を忘れ、それぞれが欲を出し始める。
私たちが再建に入ると、最初はその会社の重役など主要なメンバーの会議に出席しますが、一日中悪口の言い合いですからね。製品から上役から会社の制度からお客様にいたるまで、すべてです。結局、会社への誇りを失っているんです。
だから、私が落下傘で降りていって必ずすることは、最初に全社員に一堂に集まっていただいて、「皆さんのご家族の方々が『うちのお父さんが、お兄さんが、息子が、孫があそこの会社で働いているんだよ』と胸を張って言えるような会社をもう一度つくりましょう」とお話しします。
その後、会社にもよるのですが、社員さんの1時間の個別面談をしていきます。
最初はよそ者の私に本心は言いません。ところが、最後の5分、3分くらいになると感情を見せるようになってくるんです。そしたら、
「あなたはこの会社の問題を分かっているんだから一緒に解決しよう」
とか
「そこまで会社を好きなら一緒に再建していこう」
と言って心を合わせていくのです。
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