11月26日投開票の台湾統一地方選で、大敗を喫した蔡英文総統率いる与党民進党。この結果は台湾市民のどのような声の現れと見るべきなのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、様々な報道を引きつつ選挙結果を分析。さらに本当の敗者は蔡英文総統ではなく中国の習近平国家主席だとして、そのように判断する理由を解説しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年11月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【台湾選挙】台湾統一地方選挙、本当の敗北者は習近平だった
11月26日に台湾で行われた統一地方選挙で、与党民進党が大敗したことは、日本でも大きく報じられています。今回、民進党は全22県市の主張ポストのうち、獲得したポストは5つ。これは国民党に大敗した前回の2018年選挙からさらに1つポストを減らしたことになります。
人口の約7割を占める6つの直轄市では、国民党は台北市、新北市、桃園市、台中市の4つを獲得、一方で民進党は台南市と高雄市の2つに留まりました。この結果を受けて、蔡英文総統が民進党の党主席を引責辞任しました。
● 統一地方選で与党・民進党が敗北、蔡英文総統が同党主席を辞任
民進党敗北には、さまざまな理由があります。もともとこうした地方選挙においては現職が強いものですが、国民党陣営が現職11人、民進党は現職3人と、最初から国民党有利だったということもあるでしょう。
とはいえ、民進党がここまで大敗したのは、支持基盤でもあった若者層が民進党に投票しなかったことが大きいとも見られています。「民進党は選挙のときばかり若者にアピールするものの、選挙が終わると若者の要求については放置する」といった声も聞かれ、こうした不満が民進党支持につながらなかったと見られています。
産経新聞台北市局長の矢板明夫氏も、住宅価格の高騰や低賃金など、若者にとってきわめて重要な問題を解決してこなかったツケで、多くの若者が「騙された」と感じていると分析しています。
● 矢板明夫列出問題提醒:討厭民進黨的人若越多 可能被中國見縫插針
矢板氏はその他にも、蔡英文総統がここ数年記者会見を開いていないことや、中国の圧政に苦しむ香港への支援についても、民進党は選挙前だけにしか口に出さず、そうしたご都合主義も有権者に見透かされていたと指摘。一方で、中国のサイバー集団によるフェイクニュースが毎日大量に流され、政府攻撃を行い、国民を洗脳してきたことも、主要な原因の一つであるとしています。
民進党は台湾独立を志向し中国と対立姿勢を貫いていることから、日本では保守派と見る向きもありますが、実態はリベラルです。反原発や同性婚に積極的で、リベラルな若者世代からの支持が多いのです。
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