ビジネスの基本とも言うべき正確な原価管理。ところが外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんによれば、飲食業ではまだ管理が甘い企業が多いのも現状のようです。堀部さんは今回、自身のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で、理論原価と実際原価に9%ものブレがあった支援企業のケースを紹介。その状況をどう解決したかについて誌上で明かしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:理論原価と9%ブレがあった理由とその対策
理論原価と9%ブレがあった理由とその対策
粗利を伸ばす。
仕入れの高騰とそれ以上に高まり続ける賃金増。この時代に永続していくには粗利を伸ばす。これが大前提になってきます。
そのためには「原価管理」はできて当たり前で、そこからの工夫がめちゃくちゃ大切。
しかし飲食だとまだまだ原価管理が甘く、数字がブレる企業さんが多いのも事実。
私のご支援先でも最初理論原価があるにも関わらず、実際原価とのブレが9%あるところも。
もちろんそれは営業利益が9%減という事なので、どんだけ売上を上げても利益は残りません。
今日はそもそも何故そこまでブレたのか。そしてそれをどう解決したのか。そして次何をやっていくのか。
この3ステップを振り返っていきます。
i)理論原価がブレた理由
■最初に振り返ること
理論原価と実際原価のブレ。主たるものとしたら、
- 歩留まりロス
- ポーションロス
- 商品ロス
- 廃棄ロス
- 商品開発ロス
- 賄いロス
この辺りになってきます。
商品の特性上、考えられるのはポーションロスでした。
これをまずチェックする事に。
■ポーションロスの注意点
- 唐揚げ5個
- 唐揚げ200g
ロスが出ないのはもちろん後者ですよね。しかし、レシピでやりがちなのが前者。
そうなると人の感覚なので、「大きいやつが見栄えするから」という理由で、でかい唐揚げを5個選びがち。
1つ40gの5個なら良いのですが、個体的に50-60gもありますよね。
もし60gが5個になっていたら、なんとグラム数は300gに。
チリも積もれば。唐揚げだけで想定の1.5倍原価をかけてしまう事になります。
しかも余った端っこのものは廃棄になったり、小さいからという理由で特例で5個を6個とかにしたり。
全く管理ができない訳ですね。
こちらの企業さんは大半のレシピが「個数」管理だったのでそれを全て「グラム」へ変更。
最初は「測る分時間がかかる!」という声ももちろん生じます。
でも「年間で1,080万円賞与原資があれば?」となれば反対する人はいなくなるんですよね。
月商 :1,000万円
月間ロス:90万円=1,000万円×9%
年間ロス:1,080万円=90万円×12ヶ月
そのため、2ヶ月程度でこの辺りは解決。
しかし。
ポーションロスだけで9%ものロスが生じるなんて事はあり得ません。
実際にここでのロスは3%くらい。センターピンは別にありました。
■その在庫は本当に売上になるのか?
毎月正しく棚卸しが出来ていなかった為、もちろんまずはそれを実施。
そうなるとわかった事があります。
- 過去のフェア商品の冷凍在庫だらけ
- 売れない商品の過剰在庫
これがとんでもない金額ありました。
冷凍ももちろん万能ではないので、冷凍焼したら捨てますよね。
つまり、「在庫の廃棄ロス」が原因でした。
作ったものを捨てるのは皆気にしますが、使えなくなったものを捨てるのは気にしない。
もしくはギリ使えるものを適正売価ではなく、加工して安く売るのは気にしない。
これが一番のセンターピンだった訳ですね。つまりここの解決をどうするのか。これが重要だった訳です。
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