国民から“裏切り者”扱い。なぜ孫正義氏は東南アジア最大国家インドネシアの「首都移転プロジェクト」投資から手を引いたのか?

Taipei,City,,Taiwan,-,Jun,22,,2019:masayoshi,Son,japanese,Business,Magnate
 

独立100年となる2025年の完全移転を目標として進められている、インドネシアの新首都建設プロジェクト。この計画への巨額投資を予定していたソフトバンクグループですが、3年前に孫正義氏が突如撤退を表明し大きな話題となりました。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、同グループが首都移転構想から手を引いた裏事情を解説。さらにインドネシアから「裏切り者」呼ばわりをされた孫氏の奇妙な言い逃れを紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:孫正義氏から見限られたインドネシア:ロシアと中国を手玉に取る!?

孫正義氏から見限られたインドネシア:ロシアと中国を手玉に取る!?

ぶっちゃけ、8月17日、独立80周年を祝ったインドネシアの存在感が増しています。

東南アジア最大となる3億人もの人口を擁し、大きな経済市場が注目を集めているわけです。

日本のアニメ『ワンピース』が爆発的な人気を得ており、「独立記念日には国旗を掲げて祝おう」と呼びかけたプラボウォ大統領でしたが、SNS上では「ワンピース」の海賊旗を掲揚するのがトレンドになっています。

地元では「政府の汚職に対する不満の表れ」との受け止め方も出ているようです。

そんなインドネシアでは首都の移転計画が進められているのですが、工事の利権を巡る汚職問題も深刻化しています。

現在の首都ジャカルタが温暖化の影響で水没の危険に直面しているため、ウィドド前政権では東カリマンタン島に首都を移転する国家プロジェクトの推進を宣言しました。

総工費325億ドルの事業であり、内外から投資家や建設受注を求める企業が群がっています。実は、この事業に計画段階から深く関与してきたのがソフトバンク・グループ孫正義会長でした。

孫氏は得意の環境ビジョンを掲げ、「カーボン・ニュートラルを実現し、自然と共生する新たな都市造りにソフトバンクの経験と技術を投入したい」と息巻いていたものです。

ところが、3年前、突然、「インドネシアからは手を引く」と言い出しました。

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