クルマに“冷蔵庫”がある衝撃。日本人にとってはまだ珍しい装備ですが、中国ではいま急速に広がっています。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、東風日産の新型SUV「N7」もこの潮流を取り込み、オプションで車載冷蔵庫を用意したほどの人気を集めている背景を探っています。
日産N7も導入した車載冷蔵庫、中国でなぜそんなに人気なのか?
中国では、理想(LiXiang)が広めた、自動車における「テレビ・ソファー・冷蔵庫」という三種の神器が急速に定着している。
東風日産の「N7」がヒットした一つの要因として、この三種の神器の積極導入がある。
大きなディスプレイ、快適なシートは分かるものの、「冷蔵庫」はなかなか日本人には理解しがたい実情がある(N7の場合、冷蔵庫は標準装備ではなく、オプション)。
ではなぜ中国での自動車使用シーンで「冷蔵庫」が定着しているのか。
冷蔵だけではなく、冷凍、さらには保温・加熱と、中国の文化に根差した使用方法が見られて興味深い。
ライフスタイルの変化
まずライフスタイルの変化だ。
都市部を中心に週末の郊外ドライブやキャンプ、自家用車での長距離旅行が一般化し、食材や飲料を車内で安全に保管したいというニーズが強まった。
ユーザーからは「夏の長距離でも冷えた飲み物をすぐ飲める」「帰りに買った生鮮食品を傷めず持ち帰れる」といった声が多い。
一方で中国北部や冬季には「外が氷点下でも、子どものミルクやスープを適温で保てる」「冷たい飲み物を避ける漢方的な養生習慣に合う」と、保温・加熱の価値を評価する意見も目立つ。
NEVの急速な普及
次に新エネルギー車(NEV)の普及が大きい。
EV、さらにPHEVやREEVでも、大容量バッテリーと安定した直流電源を備え、温冷庫の連続稼働が容易だ。
さらに車体構造の最適化で設置スペースが確保され、組み込みやすくなった。
自動車メーカーも差別化のため、ハイエンドモデルのSUVやミニバンに「純正標準装備」として組み込み型の温冷庫を積極採用。
2024年には中国のNEV組み込み式車載温冷庫が約87万台搭載され、前年比3倍超の伸びを示した。
価格帯の広がり
価格帯の広がりも追い風だ。かつては高級車の専用装備だったが、現在は15~25万元(約300~500万円)クラスの中級車にも選択肢が拡大。
エントリー13万元ほどのN7もオプションとして2000元(約4万円)で追加可能になった。
エントリーモデル向けには500元(約1万円)以下で買える半導体式ポータブル温冷庫も豊富で、「まずは試してみる」層を引き込んでいる。
「最初は500元の簡易モデルを使い、便利さを実感して純正組み込みに買い替えた」と話すユーザーもいる。
この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ









