政治家と旧統一教会のつながりが原因。声をあげられなかった「宗教2世」山上徹也被告の妹が語る「家族間の対立」と「板挟み」の現実

Tokyo,,Japan,-,July,9,,2022:,Assassination,Of,Shinzo,Abe,
 

旧統一教会の問題が社会の前に可視化されてから、私たちはようやく「宗教2世」が背負ってきた現実の深刻さに向き合い始めました。今回、安倍元首相を銃撃した山上徹也被告と同じ環境で育った妹さんの証言は、母親の記憶の空白を埋めるだけでなく、宗教的虐待がどのように家庭を壊していったのかを、誰よりもリアルに伝える貴重な記録です。メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、著者で同教団にかつて信者として身を置いていたジャーナリストの多田文明さんが、山上被告の妹さんの証言から学ぶべきことについて語っています。

宗教2世の立場として育った妹さんの証言は大事なことを教えてくれる

被告と同じ境遇で育った、妹さんの証言は、信者である母親の記憶の飛んでいる部分をしっかりと補完して重要な証言となっています。

母親は子供たちの苦悩がみえないほどに旧統一教会の教義にはまりこみ、宗教的虐待をしてきた姿がありました。

しかしこれは純粋な信者であれば、仕方ない側面ともいえます。

母親が91年に入信した当時、自分の家庭に起こった不幸をもとに、霊感商法でも使われる因縁トーク(悪因縁や悪霊が原因で、家庭が不幸になっている)が心に入れられてしまい、これ以上不幸にならないためには、文鮮明教祖夫妻や教団上層部の指示通りに活動して、サタン(悪魔)による悪の働きかけを排除しなければならないと思っていたことでしょう。

しかし、その結果、起こったことはひどいものでした。46回の渡韓を行い育児放棄、多額の献金による生活苦など、被告の子供たちが宗教的虐待を受けて家庭崩壊に陥りました。

妹さんの証言に「(妹さんに)発熱があっても出かけてしまったり、教会のことで頭がいっぱいで、私に対し、かかわりが少なくなりました」「(自分が)14歳の頃に祖父が亡くなってからは、母親と口論して、『私のことをどうして愛してくれないの?』と言ったら鼻で笑われた」というものがありますが、本当に苦しかった時期を過ごしたことがわかります。

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 政治家と旧統一教会のつながりが原因。声をあげられなかった「宗教2世」山上徹也被告の妹が語る「家族間の対立」と「板挟み」の現実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け