プロ野球・読売巨人軍の阿部慎之助監督が、18歳の長女への暴行容疑で逮捕され、5月26日に監督を辞任しました。突然かつ衝撃的な出来事に驚いた人も多いはずですが、それ以上に注目すべきは、児童相談所への通報が「ChatGPT」の勧めによるものだったという事実です。今回、メルマガ『デキる男は尻がイイー河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、この事件が示す現代社会の「2つのパラダイムシフト」と、誰もが直面しうる「感情マネジメント」の重要性を読み解きます。
AIが暴いた「2つのパラダイムシフト」
プロ野球・読売ジャイアンツの阿部慎之助前監督が、18歳の長女への暴行容疑で現行犯逮捕され、その後に辞任しました。 突然かつ衝撃的な出来事に驚きましたが、それ以上に驚いたのは、児童相談所へ通報が「チャットGPT」の勧めであり、そこから現行犯逮捕に至ったという経緯です。 ・・・お嬢さんの心情を考えると、言葉がありません。
しかし、これは現代社会における2つの大きな「パラダイムシフト」を浮き彫りにしたものであり、私たちが考える以上に、「社会」はAIに征服されているのかもしれません。 かつてなら「家庭内の問題」としてブラックボックス化されがちだったことが、AIという「客観的な相談相手」を通じて、即座に公的機関へ接続されてしまうのです。
そして、たとえ「家庭の問題」であれなんであれ、「感情コントロールの失敗」がキャリアや人生を一撃で崩壊させるリスクが、「誰にでもある」というリアルです。
今回はたまたま「阿部監督」の家庭だっただけ。そう、たまたまです。 親と子、夫と妻、姉・兄と妹・弟、あるいは「隣人」とのちょっとした、どこにでもあるトラブルが大事に発展する「可視化の罠」が、私たちのすぐ足元に潜んでいる。一瞬の感情の暴発が、デジタルテクノロジーによって、白日の下にさらされるのです。
リーダーに必須の感情マネジメント
実際、組織心理学や現代のリーダー論において、感情マネジメントはもはや個人の資質ではなく、必須の「危機管理スキル」と位置づけられています。
特に、高いプレッシャーにさらされるリーダー層の感情の揺らぎは、極めて危険です。そこにアルコールなどの要因が重なれば、自己統制のブレーキは容易に外れてしまう上に、社会からは「飲み方の問題」では済まされない、「致命的な資質の欠如」とみなされます。
それまで築き上げたキャリアのすべてを帳消しにしてしまうほどの、冷徹さです。
怒りに飲まれない「アンカリング」術
では、感情の波に飲み込まれないために、私たちが今すぐ実践できることは何か。 心理学で有効とされるのが、「アンカリング」と呼ばれる、特定の身体動作とポジティブな感情を意図的に結びつける心理テクニックです。
怒りや強い衝動が湧いた瞬間、まず「今自分は怒っている」と自分の状態を1歩引いて観察する(メタ認知)。そして、その場を物理的に離れるか、深呼吸をしながら心の中で「1、2、3・・・」と数える、目の前の人のおでこに「怒りの言葉」を書く、近くに紙などがあったら、それをギュッとしわくちゃにする、など、とにかく「間」を作ってください。
さらに、「書く」という行為はストレスを浄化させるカタルシス効果もあるため、「爆発ノート」なるものを持ち歩いて、怒りが湧いたら「書く!」を習慣にする。 AIを「感情のクールダウンの壁打ち相手」として活用するのも一手かもしれません。
その一方で、時に感情を互いにぶつけ合うことで、お互いを思いやる気持ちや、自分の嫌な部分を受け入れることで、「人」が成熟するのもまた事実なんですよね。 人間って・・・・本当に難しい。 ただ、人生の後半戦に突入してつくづく感じるのは、「大切な人と過ごす限られた時間を、たとえ一瞬であれ、相手を罵ったり、傷つけあったりするのはバカバカしいなぁ~」と。 いつも笑っていたいなぁって。その方が1000倍、幸せだなぁって思うのであります。
みなさんのご意見、お聞かせください。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ
image by: Hotta Akahane, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons









