「漫画の神様」として、日本漫画界に不滅の足跡を残した手塚治虫。その膨大な作品群のなかで、主に少年・少女向けに描かれた一連の作品は、いわば「黒手塚」と呼ばれるダークな側面とは対照的な、「白手塚」の真骨頂とも言えるみずみずしい魅力を放っている。
手塚治虫という作家は、単行本化の際に自らページを大幅に再構成し、徹底した加筆・修正を施すことで知られる。だが、その過程で「雑誌連載時のオリジナル表現」や「手塚自身による生の描き文字」が失われてしまうことも少なくなのかった。
そんな「失われたピース」に光を当て、学年誌などに掲載された1960年代の手塚治虫の貴重な作品群を当時のままの姿で蘇らせる新企画が、立東舎の「ミッシング・ピーシズ」シリーズに仲間入りした『手塚治虫 ミッシング・ピーシズ ジュブナイル・ワークス アリと巨人(ジャイアンツ)』だ。

『手塚治虫 ミッシング・ピーシズ ジュブナイル・ワークス アリと巨人(ジャイアンツ)』立東舎・刊 6,985円(税込)©️TEZUKA PRODUCTIONS
驚愕のオリジナル版復刻:全ページ改変前の「原点」を網羅
本書の最大のハイライトは、表題作でもある『アリと巨人(ジャイアンツ)』の「連載オリジナル版」を初の完全収録している点だ。
全ページ改変前の貴重な連載版: 『アリと巨人』は、後の鈴木出版版や全集版で全ページにわたって大きな改変が加えられた。本書では、改変前となる1961年の「中学一年コース〜中学二年コース」連載当時の姿で初収録。差分(抜粋)も併せて掲載している。
手塚自身による書き文字の再現: 単行本化の際に整音化されがちな「手塚自身による書き文字」も、連載初出時のまま忠実に再現。巨匠の肉筆が持つ生のグラフィック的インパクトをダイレクトに体感できる。
実は『アリと巨人』は、異なった形で3つのバージョンが存在する作品でもある。それほどまでに描き直されたという事実は、少年・少女向け作品(ジュブナイル)だからこそ明確なメッセージを込めたいという、手塚治虫の強いこだわりとお気に入り度の高さを物語っている。

『アリと巨人(ジャイアンツ)』©️TEZUKA PRODUCTIONS
1960年代の熱気を伝える歴史的ラインナップ
本書には『アリと巨人』のほかにも、学年誌や新聞に掲載された1950〜60年代の貴重な短編・中編が惜しみなくコンパイルされている。単行本初収録となる幻の作品も含め、まさにファン感涙のラインナップだ。

『机の中へこんにちは』 ©️TEZUKA PRODUCTIONS

『シャミー1000』 ©️TEZUKA PRODUCTIONS
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『アリと巨人』(1961年『中学一年コース』〜『中学二年コース』)★初のオリジナル版収録+差分(抜粋)
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『机の中へこんにちは』(1968年『中学二年コース』)
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『シャミー1000』(1968年『高1コース』)
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『オズマ隊長 防衛博を行く』(1962年『サンケイ新聞』)★初単行本化
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『ぼくの夢 とんだ宇宙旅行』(1958年『おもしろブック』)★初単行本化
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アーカイヴ解題: 濱田髙志
「ジュブナイル」に込められた、巨匠のストレートな情熱
子どもたちに向けて描かれた「ジュブナイル・ワークス」には、大人向けの複雑な作品以上に、手塚治虫が抱いていた未来への夢やSF的発想、そして人道的なメッセージがストレートに込められている。
巨大な武力や国家の暴走に踏みにじられる民衆の姿を『巨人とアリ』に見立て、戦争がいかに無差別に人間の日常と命を奪っていくかという凄惨なリアリティを、手塚治虫は容赦なく叩きつけている。
これまで一般の読者が目にすることのできなかった「改変前のオリジナル原稿」や「初単行本化となるレア作品」。一人の天才が子どもたちのために真剣勝負で挑んだ表現の原点を、ぜひその目で確かめてほしい。濱田髙志氏による解題も含め、手塚マンガの真価を再発見できる一生モノの一冊だ。(文中敬称略)
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『手塚治虫 ミッシング・ピーシズ ジュブナイル・ワークス アリと巨人(ジャイアンツ)』
著者: 手塚 治虫
仕様: B5判 / 424ページ
定価: 6,985円(本体6,350円+税10%)
発売日: 2026年6月12日
発行: 立東舎
発売: リットーミュージック

『ブラック・ジャック ミッシング・ピーシズ Second Operation』
著者:手塚治虫
定価:5,500円(本体5,000円+税10%)
発売日:2026年2月20日
発行:立東舎/発売:発行:リットーミュージック

著者:手塚治虫
定価:6,600円(本体6,000円+税10%)
発売日:2024年11月15日
発行:立東舎/発売:発行:リットーミュージック

著者:手塚治虫
定価:4,950円(本体4,500円+税10%)
発売日:2023年11月20日
発行:立東舎/発売:発行:リットーミュージック
image by: ©️TEZUKA PRODUCTIONS









