大揺れに揺れる辺野古への基地移設問題ですが、政治家ではない国家官僚たちはこの問題をどのように捉えているのでしょうか? 元戦場ジャーナリストの加藤健二郎さんは自身のメルマガで、現役官僚から聞き出した辺野古問題の裏側と、日本政府の対応を紹介しています。
官僚出世視線から見た辺野古
友人の法務官僚君は「沖縄の辺野古埋め立て工事強行は、約20年の官僚人生の中でも、政府の目指しているゴールがよく見えない、よくわからないものだ」という。今回は、官僚視線からの雑談会を記してみる。
まず、官僚君が言ったのは「埋め立て工事の戦いの場を、行政の裁判にしまうことによって、デモや住民運動みたいな動きの盛り上がりにはストップがかかるだろう」と。裁判が始まってしまったら、デモやる左翼も盛り上がらず、裁判の行方を見守るのみになりがち。議会も盛り上がらない。公安関係も取締等などの活躍の場を失う。なるほど、官僚視線な見方で、メディアさんにはない視点だ。
では、反対運動のトーンをダウンさせて、政府は本当に辺野古建設を強行したいのか。「どうせ、20年後とかには、米海兵隊はグアム移転でしょ? 日本政府は、あそこに何がほしいんだ?」と。
沖縄県民による県外移設気運は、民主党が盛り上げたパンドラの箱という見方もあるが、それ以前の自民党政権時代にも、普天間基地移設を日米合意してから10年間以上、なにも進展させていない。つまり、自民党側にも、辺野古を強行したくない意図が見えていた。
法務官僚君は「ここ数年間で、日本政府が目指すゴールは方向転換したか消滅し、10年前とはかなり違う空気になっているのは、官僚生活の中でもひしひしと感じますからねえ」と。ただ、なにがどのように変わったのかがわからない、と。計画や方針があるのかどうかもわからない。
国家官僚は、自分の仕事上でのスタンス次第で出世コースに乗るか、捨て駒コースに追いやられるかが微妙なので、中央政府の方向性決定にはかなり敏感な方だ。