日本人でもついつい間違えてしまう「敬語」の使い方。ビジネスではもちろん、目上の方とのおつきあいなどでも、敬語の使い方を間違えて大恥をかくことは割と多いのではないでしょうか。知っているようで意外と間違えがちな敬語について、無料メルマガ『仕事美人のメール作法』の著者・神垣あゆみさんが正しい使い方を教えてくれています。
気になる敬語1 「お知らせさせていただきます」
「年末年始の営業予定を改めてお知らせさせていただきます」
この一文の最後、「お知らせさせていただきます」の敬語の使い方が気になります。
この一文で伝えたいのは年末年始の営業予定を相手に「知らせる」こと。シンプルに「お知らせします」としても差し支えないのですが、「する」の謙譲語「いたします」を使い「お知らせいたします」とすれば、スッキリした敬語の使い方になります。
相手に対してより丁寧に、と気を遣うあまり使ってしまいがちな「~させていただきます」ですが、「送ります」や「報告します」といったビジネスメールでよく使う言葉も、謙譲語の「~いたします」に置き換える方がスッキリし、適切です。
例)
サンプルをお送りさせていただきます。
↓
サンプルをお送りいたします。
調査結果を報告させていただきます。
↓
調査結果を報告いたします。
したがって、最初に挙げた文例は、
「年末年始の営業予定を改めてお知らせいたします」
として差し支えありません。
気になる敬語2 「お写真を拝見されて」
「背景が変わっていることにお写真を拝見されて、気づかれましたか?」
上記の一文は、ネットにアップしている自分のプロフィール写真の背景が変わっていることに気づきましたか? と書き手が読み手に問うている文です。
気になるのは「お写真を拝見されて」の箇所。書き手が読み手に対して敬語を使うつもりが、尊敬語と謙譲語を混同しておかしな敬語になってしまっています。
「(プロフィール)写真を見た」のは、読み手、つまり、相手です。
したがって相手の行為に使う敬語は尊敬語。「見る」の尊敬語は「ご覧になる」、あるいは「見られる」です。しかし、上記の一文では、「見る」の謙譲語「拝見する」を相手に対して使っています。
さらには自分の写真のことなのに尊敬の接頭語「お」を付け、「お写真」となっています。
「お写真」→「写真」
「拝見されて」→「ご覧になって」
と直してみましょう。
「背景が変わっていることに写真をご覧になって、気づかれましたか?」
より伝わりやすくするために文の順番を変えて整えると……。
「写真をご覧になって、背景が変わっていることに気づかれましたか?」
のようになります(最後の箇所は「お気づきになりましたか?」にしてもよいでしょう)。
今回、取り上げた文例のように、敬語を使う相手と行為を取り違え、自分を主語とする「謙譲語」と相手を主語とする「尊敬語」が入れ替わっている間違いを見かけます。敬語を使い分けるときは、その行為の主語は誰かを確認してみましょう。