気になる敬語3 「お間違えないでしょうか?」
「先生の発言について私は△△と解釈しましたが、お間違えないでしょうか?」
ネット上で相手(=先生)が発言した内容について自分(=私)は△△と解釈した が、それで間違っていませんか? と相手に問うているのが上記の一文です。
気になるのは最後の「お間違えないでしょうか?」の箇所。「私の解釈は間違っていませんか?」と相手に確認しているのに、「間違える」という自分の行為に尊敬の接頭語「お」を付けてしまっています。
相手の間違いを確認するのであれば
「○○を△△とお間違えではないでしょうか?」
「○○を△△とお間違えではありませんか?」
という尋ね方はしますが、冒頭の文例の場合は、相手ではなく自分の解釈が間違えてないかどうかの確認です。したがって尊敬の「お」は使わず「間違いないでしょうか?」とするのが適切です。
「先生の発言について私は△△と解釈しましたが、間違いないでしょうか?」
この例のように、相手に対する敬意から本来は自分の行為や動作に敬語を使ってしまわないように注意しましょう。
気になる敬語4 「書籍を出させていただけないか」
「出版社の佐藤さんにご相談させていただき、書籍を出させていただけないかと企画を持ち込みました」
上記の一文でまず、気になるのは、「させていただきます」の使い方です。
相談相手である佐藤さんを「立てる」ために、「相談する」「書籍を出す」という言葉に謙譲語を使い、「相談させていただく」「書籍を出せていただく」としていますが、一文に2度も「させていただく」が使われていて、スッキリしません。
それに、「書籍を出させていただけないかと企画を持ち込みました」という言い回しも丁寧な言葉とそうでない言葉が混在してまとまりがありません。
上記の文で伝えたいのは「出版社の佐藤さんに相談し、本を出版してもらえるように企画を提案した」ということです。
意図が伝わるように書き換えてみましょう。
「出版社の佐藤さんに相談し、書籍の出版を検討していただくための企画を提案しました」
相談したのは自分(書き手)、企画を提案したのも自分なので敬語を使う必要はありません。
この一文で敬語を使って「立てる」対象は佐藤さん(および、佐藤さんが所属する出版社)なので、出版を「検討してもらう」を「検討していただく」としました。
伝えたいことを最初にストレートに書いてから敬意を示す対象がどこかを整理し、敬語に置き換える方が文意は伝わりやすくなります。
書きながら敬語を当てはめていくより、ひと手間かけて文を整えるようにするといいですね。
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『仕事美人のメール作法』
著者/神垣あゆみ
広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。
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