35年連続1位。老舗旅館はなぜ「1度は行ってみたい」と思わせるのか

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熾烈な競争が繰り広げられている観光業界ですが、誰もが知る有名旅館は、やはり他の一歩も二歩も先を行く企業努力をしているようです。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、「加賀屋」「星野リゾート」「古窯」に焦点をあて、彼らの独自の取り組みについて紹介しています。

温泉宿かリゾートホテルか ~達人が目指す極意~

本日は日本の観光の拠点となる旅館やホテルの話をしたい。いまや訪日外国人の観光ブーム、さらに2020年の東京オリンピックを控えている中で、老舗旅館、リゾートホテルなどそれぞれ工夫しながら顧客をどう取り込むかということを切磋琢磨している。訪日外国人のみならず、国内からの訪問者の増加を目的として価格、サービス等、工夫を凝らしている。

創意工夫し続ける日本一

例をあげると、日本一と言われる「加賀屋」(石川県・和倉温泉)は「プロが選ぶ日本のホテル旅館100選で35年連続総合1位に選ばれている。これは、もてなし、料理、施設、企画の4つの項目から選ばれるもの。しかしながら、この加賀屋でもかつて日本で隆盛した宴会旅行や接待旅行が衰退し、台湾や韓国からの団体客に的を絞っている

宿泊した方々へのおもてなしとして、仲居さんが韓国語、英語や中国語などの外国語を学び、話相手となったり、その時間を捻出する施策として料理を運ぶ時間を削減する「料理自動搬送システム」の導入や従業員が安心して子供を預けられる保育園(カンガルーハウス)を完備するような工夫をおこなっている。

ターゲットの軸足を近隣国へ

「加賀屋」はもともと和倉温泉で木賃宿のような宿であったが女将の小田真弓氏と小田禎彦氏が立教のサークルで出会い、日本一の宿にしようとサービス、施設を充実させることによって「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で35年連続総合1位を取り続けている。宿泊料金は結構高額で4~5万円位なので誰でも気軽に行けるというわけではないが、富裕層をターゲットとし台湾にも温泉旅館を作っている。これらの取り組みで、新しい形の旅館を作ろうとしている。

圧倒的な非日常を演出

もう1つの例としては、有名な「星野リゾート」で4代目の星野佳路氏が代表を務める。こちらは非日常をどうやって演出するかということに軸をおき、連泊を基本としている。テレビを置かず、食事はレストランで家族や恋人などと語らう。夜は星を見る散策や、キャンプファイヤーを楽しめる環境を提供することで圧倒的な非日常を取り入れる事を大きな目標に掲げ経営をしてきた。

今、その星野リゾートが「星のや 東京」という温泉旅館を今年の夏に丸の内に開業することが話題となっている。露天風呂を備え、外国人客比率を5割前後、1室7~8万円を想定と高額である。丸の内で仕事をしつつ、温泉に宿泊できるという狙いで、主に訪日外国人をターゲットとしている。

また、星野リゾートでは海外に知名度を拡げる工夫として、創業100年を迎えた2014年に海外の若者100人に日本文化を体験してもらう「100 TRIP STORIES(ワンハンドレッドトリップストーリーズ)~旅は魔法~」を実施。参加した方々が、SNS等を通じて海外に情報を発信してもらうような取り組みも行なっている。

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