猫の置物の「破損」を逆手にとった、雑貨屋店主のマーケティング術

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「マーケティング」と聞くと、「ただ物を売るためだけのテクニック」と思ってしまいがちです。しかし無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんは、ある雑貨店店主と老婆のエピソードを紹介しつつ、物を売るだけではない「マーケティングの本質」について解説しています。

マーケティングを駆使して破滅しないために注意すべきポイントとは?

私がかつてマーケティングを学んだ先生の著書の中に次のようなエピソードがあります。

ある雑貨屋の店主が誤って猫の置物を落としてしまい耳が欠けてしまいました。このようなこわれものでは、商品としての価値がなくなり、通常であれば廃棄処分です。

ところが、この店主は考えを巡らし、どうにかしてこの耳が破損した猫の置物を売ろうとします。そして出した答えが「この猫は交通事故に遭って耳を怪我しています。優しく看病してくれる飼い主の方はいらっしゃいませんか?」という、破損を逆手に取った手書きのPOPを壊れた猫の置物の横に置くことだったのです。

すると何日か後、品のいいおばあさんが店に立ち寄った際に奇跡は起こります。おばあさんは、店内をぐるりと回ると店主を呼び、「この置物を下さい」とあの壊れた猫の置物を指さしたのです。

まさか売れるとは思わなかった店主は「この猫の置物は壊れています。もし新しいものが必要があれば用意できますが…」と正直に伝えます。ただ、おばあさんの口から出てきた言葉は予想もしないものでした。

いいえこれがいいんです…

マーケティングは使う人によって、薬にも毒にもなる

マーケティングのテクニックを駆使すれば、この事例が示すように一般的に価値のないと思われるものまで売ることができるというわけです。価値とは人それぞれであり、恐らくこのおばあさんも過去に交通事故で愛猫を亡くした経験があり、その供養の意味もあったのかもしれません。

ただ、重要なことはお客様を騙してまで売上を上げるためにマーケティングを使ってはならないということです。マーケティングは使う人によって、薬にも毒にもなります。

本当にお客様の幸せを願う人が使えば、社会はどんどん良くなっていくでしょうし、自社の利益だけを追求している人が使えば、不幸な人が世の中に溢れることにつながっていきます。

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