猫の置物の「破損」を逆手にとった、雑貨屋店主のマーケティング術

 

マーケティングの本質は「顧客との信頼を深めながら利益を上げること」

マーケティングとは一般的に「売上を上げる仕組み」と認識されていますが、マーケティングの本質とは「顧客との信頼関係を深めながら利益を上げていく活動」でもあるのです。

世の中には悩みや問題を抱えている人がいっぱいいます。そのような困っている人達を特定し、自社製品で悩みや問題を解決し、さらなるニーズが湧き起これば、その期待にも応えていく。そのような顧客の期待に応え続ける地道な活動こそがマーケティングといえるのです。

たとえば、先ほどの事例の店主も当初は壊れた商品をお客に売りつけようとしましたが、実際におばあさんが購入を申し出ると、真実を打ち明けました。もし、そこでおばあさんを騙して「壊れた品物が売れてよかった」と喜ぶようでは、その時は利益が上がって満足かもしれませんが、長い目で見ればこの店主は不誠実だという評判が広まって、誰もお客様がいなくなる可能性だってあるのです。

廃棄処分の商品を横流しした業者が得たものと失ったもの

今年初めにも、本来は廃棄処分しなければいけなかった食品を横流しし、不当な利益を得ていた業者の存在が発覚しました。

廃棄処分業者は廃棄処分の費用を徴収したうえに、廃棄せずに商品を横流しするのですから、いくらで販売しようが必ず利益が上がる仕組みになっています。

そこで、冷凍ビーフカツ1枚33円という通常では考えられない低価格で販売すれば、喜んで購入する取引先が現れてもなんら不思議なことではありません。スーパーなどでセールの目玉として売り出せば集客に一役買うことになるからです。

ただ、低価格のカラクリが顧客を欺くものであれば、発覚した途端にそれまで築いてきた信用を失い、ビジネスの根幹が一瞬にして音を立てて崩れていくことにつながっていくのです。

信用を築くのは時間がかかりますが失うのは一瞬です

マーケティング戦略を駆使して売上を上げ続けたければ、やはり自社の都合で売ることにフォーカスするのではなく、顧客のニーズを熟知して解決することに全力を注ぎ、信用を積み重ねて顧客との長期的な関係を築くことにフォーカスする必要があるのです。

image by: Shutterstock

 

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