スマホで10秒、100万おトク。マンション売却にもスマート化の波

2015.07.12
by micky
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ネットでの不動産取引がついに、現実になろうとしています。国土交通省はこの夏にも試験を始め、問題がなければ本格運用が始まることになります。

不動産業界大革新のうねりの中で、マンション売却時にかかる仲介手数料が100万円も安くなる、そんな仲介手数料が激安の新しいネット不動産業界を賑わせています。でもなぜそんなに安くなるのでしょうか? そこには実店舗を持たないネット不動産だからこそできる挑戦がありました。

手数料定額49万8000円に新興ネット不動産が挑む

マンション売却専業のネット不動産「マンションマーケット」が、マンション売却時にかかる仲介手数料を一律定額の49万8000円にするという新サービスを7月1日からスタートしました。

その内容は、自分のマンションの相場がスマホで簡単に知ることができ、「マンションマーケット」の売却コンサルタントが売主に変わって販売するというもの。その販売手数料もこれまでの常識を覆す、一律定額の49万8000円となっています。

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東京を商圏とする「マンションマーケット」のサイト。スマホで簡単にマンションを売れるのが特長。

 

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相場がすぐわかり、売却オーダーもスマホでできます。

 

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自分のマンションのデータから、即時無料で見積もりが出る。

不動産業界激震の「定額手数料」

スマホで即時出される見積もりでもほぼ正確ですが、念のためチャットを使ったオンライン査定、売却コンサルタントによる訪問査定を追加できるようです。今はスマホ版サイトを先行オープン中ですが、8月後半にはパソコンに最適化したサイトもグランドオープン予定とのこと。

実はこれ、不動産業界を揺るがす革新的なことなんですよ。

そもそもマンションや不動産を売る時の仲介手数料っていくらだか知ってますか? 400万円以上の場合は、価格の3%+6万円に消費税をかけたものだそうです。これが法律で決まっている上限価格らしいのですが、ほとんどの不動産屋さんがこの価格となっているそうです。

ピンと来ないアナタに実際の値段をお教えすると、3000万円のマンションなら96万円、仮にオシャレなタワーマンションで6000万円もすれば、売るだけで186万円も仲介手数料として持っていかれるのです。

これは納得いかないですよね。法律で決まっているとはいえ、3000万円と6000万円の手数料で比べて、売る人たちは倍の仕事をしているのかと。

そんななか、「マンションマーケット」は3000万円で売っても、6000万円で売っても、仲介手数料は同じだというのです。でもなぜそんなことが可能なのでしょうか?

というわけで実際に社長の話を聞いてきました。

なぜ安くできるのか?

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話を伺ったのは「マンションマーケット」代表取締役の吉田紘祐さん。リクルート社で不動産メディア「SUUMO」の企画営業に携わった経験を活かし、マンション売却専門のネット不動産を平成26年に設立した、業界の風雲児らしいです。

ーマンションマーケットはなぜ定額手数料が可能なのですか?

吉田「不動産売買はそもそも、対面販売中心でやや古い体質の業界なんです。ですが、当社は実店舗を持たないネット販売なので接客スタッフの人数を最小限に抑えられ、自社の賃貸料も安く済みました。コストを極限まで下げたことで、大手不動産会社には難しかった一律定額49万8000円の仲介手数料を実現できたのです。例えるなら、ネット生保。人件費や宣伝費、事務所費など運営経費にあたる手数料を減らし、保険料の大幅な値引きを実現したのですが、これはネット販売ならではなんです。それから、戸建て住宅はどうしても個体差があり、きちんと訪問・調査をしないと正確な見積もりが出せません。それに対して当社が主に扱う東京圏のタワーマンションは、大手建設会社が施工するケースも多く、築年数に応じた状態の物件がほとんど。また、同じマンションに数百世帯が入居している場合もあり、似たような間取りの物件が過去に売買されているケースが多いです。そのため、流通相場がしっかりできているんですね。これで、見積もりスタッフの数を大幅に減らせました」

ちなみに1460万円以上のマンションなら売却価格が高くなればなるほど仲介手数料がおトクになるんだそうです。過去の成約案件を聞いてみたところ、あるお客様が広さ約40㎡のマンション「クロスエアタワー」を約6000万円で売却したところ、仲介手数料で136万2000円も浮いたと、驚かれたそうです

都区部でマンション売るなら今どれくらい?

最後に読者のみなさんにも現実的だと思われる、ファミリー向けのマンションで検証してみましょう。

国土交通省指定の公益財団法人、東日本不動産流通機構が発表した2015年01〜03月期首都圏不動産流通市場の動向によると、平成26年度は消費税8%の導入を受けて中古マンションの成約件数は前年度に比べて減りましたが、直近は増加傾向になっています。また、成約した㎡当たりの平均単価は平成24年の第3四半期以降値上がりを続け、1㎡当たり37.9万円から、平成27年の第一四半期では44.8万円にも上昇しました。

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首都圏中古マンションの成約・新規登録件数の推移と㎡単価の推移。

例えば70㎡の中古マンションであれば、2653万円から3136万円平均へと500万円も流通価格が上昇。今までの不動産を使ったとすると、仲介手数料がそれぞれ、85万5900円から100万800円に上昇しています。

これを都区部で当てはめるとさらに驚きの価格となります。

平成24年の第3四半期に53.5万円だった㎡あたりの単価が、平成27年第1四半期では66.1万円に上昇。70㎡のマンションなら3745万円から4627万円になり、仲介手数料もそれぞれ118万3500円、144万8100円と想像以上に高額となります。

これが、「マンションマーケット」を利用すれば一律定額49万8000円。都区部で70㎡のマンションを売るなら、100万円近くもおトク。知っているのと、知らないのでは大きすぎる差ですよね。

ネットで不動産の取引が可能になる日も間近とされる中、ネット不動産が今後ブームになることは間違い無いでしょう。そしてこの仲介手数料が定額になる新しいネット不動産が人気になれば、大手不動産の仲介手数料の見直しがあるかもしれません。デフレは日本経済にとって喜ばしくないところも多いですが、価格是正はありがたいこと。株の取引がネット中心になり手数料が激安になったように、不動産取引もスマホでスマートにできる、それが当たり前になる日もそう遠くないことでしょう。

source: マンションマーケット

文/堀 ミキヒロ

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