ワイン、たばこ、コーヒー… 「歯につく色素」は身体に悪いのか?

2016.08.17
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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タバコや食品の色素による歯の着色汚れ。見た目が良くないと気にする方は多くいますよね。ただ、見た目以外にそれらの色素による歯や身体全体への影響はあるのでしょうか。

詳しくいみていきましょう。

歯の着色汚れ「ステイン」ができるメカニズム

歯の着色汚れを「ステイン」と言います。その原因として、コーヒーやワイン、紅茶、緑茶、カレーなどの食品に含まれる色素、タバコのヤニがあります。

歯の表面には唾液で作られる「ペリクル」という薄い膜があります。

ペリクルは虫歯を作る酸から歯を守ってくれる役割がある一方で、ステインのもとになるものを吸着する性質があり、ペリクルに含まれるたんぱく質やカルシウム、金属イオンと食品の色素物質が化学反応を起こしてステインとなります。

長期間にわたって歯に沈着すると、見た目でも気になるほどの着色汚れとなるのです。

色素成分の身体への影響

 ステインの原因となる食品は、先にも挙げた代表的なもの以外にも、バナナ、りんご、ぶどう、柿、ブルーベリーなどの果物類、緑黄色野菜、ココア、チョコレートなど、日常にあふれています。

これらの食品に含まれる“色素成分”は、「ビタミンB群」や、近年第7の栄養素と言われ注目されている「ファイトケミカル(ポリフェノール、タンニン、アントシアニン、カテキン、リコピンなど)」です。

ビタミンB群は、食べた物をエネルギーに変え、代謝を促したり、血液や細胞を作るのに欠かせません。また、ファイトケミカルは、老化や病気の原因となる細胞の老化を防ぐ抗酸化作用を持つのが特徴です。

つまり、色素成分自体は身体にとって積極的に摂るべき成分なのです。

一方で、タバコのヤニ(ニコチン、タール)は植物などに含まれる樹脂。歯だけではなく、喉や内臓にこびりつき、そこにとどまって有害物質を出し続けます。

お口の中の害だけを考えても、ステインだけではなく、歯茎の変色や歯周病、虫歯の原因にもなる、身体に悪影響を及ぼす成分です。

ステインの身体への影響

 次に、ステインの身体への影響について考えてみましょう。

ステイン自体が歯や身体に悪影響を及ぼすことはありません。しかし、ステインができると、歯の表面が滑らかでなくなるため、食べ物のカスや色素成分がつきやすくなり、磨き残しも多くなります。

するとステインがさらにできやすくなったり、虫歯や歯周病を起こしやすくなる、という悪循環を起こします。

ステインを予防しよう

ステインは化学反応によって生じるため、これらの物質をきちんとコントロールしておけば、発生を抑えることができるというわけです。

身体にとって必要な食品はしっかり摂ることのほうが大切です。そのあとに、水で口をすすいだり、水を飲みましょう。

ただし、水だけでは落としきれないため、色素成分を歯に残さないように、毎食後に歯磨きをするのが一番の予防策です。

喫煙の習慣のある人は、禁煙するか、タバコを吸う量を減らし、喫煙後に口をすすぐ、歯を磨くなど、より一層こまめにお手入れをするよう心がけましょう。

ホワイトニングで清潔に

ステインを除去する方法として「ホワイトニング」があり、審美歯科などで治療としても行われています。

最近は、手軽に自宅でそれを行うことができますが、歯の表面を無理にこすったり、強い研磨剤や漂白剤のある歯磨き粉を使用するのは問題があります。エナメル質が剥がれてしまい、歯の表面に傷ができて、ステインが逆につきやすくなってしまう可能性もありますから、注意しましょう。

執筆:山本 ともよ(管理栄養士)

 

<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

 

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