偽装発覚。豊洲市場「手抜き」問題で嘘をついているのは誰か?

 

知事のダメージコントロール

【毎日】は3面の解説面「クローズアップ」で取り上げている。見出しを以下に。

  • 「豊洲は安全」揺らぐ
  • 市場主要建物下 空洞が露呈
  • 都が独断 公表もせず
  • 移転延期反発一転 議会内憤り

uttiiの眼

《読売》が指摘している「専門家会議」と「技術会議」の齟齬という問題について《毎日》は、建物の下に空洞を作っても安全で耐震性も問題ないと都が勝手に判断し、その変更については「専門家会議」に報せず、また「技術会議」に対しても、建物の下を空洞にするとの明確な報告はしなかったという。

基本情報を押さえた上で《毎日》が書いている独自の論点は二つ。一つはこの「盛り土」問題発覚の経緯。もう一つは、小池知事が選挙中から強調し、実際に行った移転延期決定に反発していた都庁や都議会が、今回のさらなる問題発覚で狼狽えている様子についても書いている。

問題発覚の経緯は共産党都議団の視察だった。9月7日、外部からの指摘を受けて現地視察した共産党都議団は、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟など主な建物の床下が総て空洞になっていることを突き止めた。この動きを知った小池知事は、10日に緊急会見し公表した。共産党に指摘されるよりも自らのダメージが少ないと考えたのだろう。

2つ目の論点。小池知事が就任後に行った「移転延期決定」に対して、都の幹部の中には「どれだけの量の土を入れ替えたか理解しているのか」と不満を漏らすものもあったらしい。市場担当者の中では、地下が空洞になっていることは共通認識だったようだが、他部局の幹部たちは知らなかった」と言っているらしいので、専門家会議の提言通り、建物の下も当然に盛り土されていると思い込んでいたのかも知れない。それでも幹部たちの立つ瀬はない。

小池知事の移転延期決定に反発していた都議たちも、「だまされた」と言って、責任回避に努めるしかないようだ

だが、小池知事には豊洲市場の安全性の検証がキチンと行えるかどうかという基本的な問題に加え、さらなる延期でかさむ業者への補償費用の上積み、そして、東京五輪への悪影響という大きな問題に直面することになる。

《毎日》は、多分、都政担当の記者が地道な取材を続けてきているのだろう。「厚みを感じさせる記事になっている。

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