安倍総理が語り始めた「憲法改正案」は、どこに無理があるのか?

 

憲法9条1項、日本の常識は、世界の非常識

安倍総理が「残す」と断言しておられる、「憲法9条」をみてみましょう。まず1項から。

第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

 

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

戦争放棄」「平和主義」ですね。これを総理は「残す」としている。保守もリベラルも、あるいは普通の国民も賛同する人が多いのではないでしょうか?

この9条1項について、日本人が知っておいた方がいい事実があります。まず、「戦争放棄」「平和主義」は、「世界唯一ではない」。

日本には、「世界で唯一の平和憲法」と主張する人がたくさんいます。それで、憲法9条を、「世界遺産に!」とか、「ノーベル平和賞に!」などという人までいる。

しかし、実をいうと、「平和主義憲法、「特殊なことではありません。憲法学者・西修先先生の調査によると、何らかの「平和主義条項が憲法にある国は124か国(1989年時点)。日本と同じように「国際紛争解決の手段としての戦争を放棄する」としている国々は、アゼルバイジャン、エクアドル、ハンガリー、イタリア、ウズベキスタン、カザフスタン、フィリピンの7か国。というわけで、日本国民も政治家の皆さんも、「日本国憲法自慢はやめた方がいいです。

もう一つ。「戦争放棄、「自衛権を否定しない」ということ。この条項があるからといって、

  • 北朝鮮が攻めてきた場合
  • 中国が尖閣を侵略した場合

日本が反撃できないわけではありません。細かい話になりますが、9条の「平和主義」「戦争放棄」は、1928年の「パリ不戦条約」がモデルになっています。この条約で、

  • 「国際紛争解決の手段としての戦争」
  • 「国策遂行のための戦争」

が「違法」とされた。

しかし、条約提唱者のケロッグ米国務長官は、「自衛戦争は対象外!」と断言し、それが世界共通の認識になっています。ですから、「憲法9条がある北朝鮮が攻めてきても反撃するのは違憲だ!とはなりません。北朝鮮や中国が攻めてきたら、反撃するのは合憲」です。ですから、「攻められても反撃できないこと」を理由に「憲法9条1項改正」を主張するのは、知識が不足しているか、憲法改正自体が「目的化」しているかのどちらかです。

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